湊サマよりいただいた亮


+++ 竹原湊 サマ +++

ポートレートシリーズ第二弾をいただいてしまいました!
(注・管理人による勝手な命名があった模様です)
美人祭りですね。うっとりです。
こんなステキな笑顔を亮で描いていただけてすごく幸せです。
もちろん、なにやら鏡の前で困惑中のも(にやり)。

せっかくなので、写真シリーズということで↓。



『 いまという瞬間 2 』

自分の撮った写真を眺めている忍の顔つきは、少々不満そうだ。
いい笑顔を引き出すのは、得意だと思う。
俊も麗花も須于も、よく笑っているし、ジョーの笑顔もきっちり収められている。
毎日一緒にいれば、ごく自然にそんな笑顔になる瞬間、というのがあるのだ。
もちろん、亮にだってないわけではない。
だが、気配に聡すぎて、カメラが構えられる頃には、あちらの表情も構えてしまっている。
不自然、というわけではない。
微笑んでるし、それに力みがあるわけではない。
でも、忍がこの目で見ている、イチバンいい笑顔ではない。
せっかくなら、亮のだってイチバンを撮りたい。
さて、それにはどうしたらいいのか。
軽く腕を組み、忍は画面を眺めるともなしに眺めながら、考える。

それから数日後。
腕をなまらせない為の外での演習を終えたところで、ぱしゃり、という音。
亮は、怪訝そうに首を傾げる。
構えていたカメラを下ろしながら、忍はにこり、と笑う。
「こういう時にどんな顔してるかって、知らないだろ?」
演習終了を告げられたのだから、その後は自由でいいわけで。
「それはまぁ、そうですね」
不思議そうな顔つきのままではあるが、こくり、と頷く。
使ったナイフを回収し終えた麗花が、笑う。
「確かにねー、軍師な亮って、カッコいいよね」
「まぁな、少なくともナンパしようってヤツはいないだろ」
と言った俊を背後からどつきつつ、ジョーが言う。
「それはどうかわからんぞ」
実際、かなり眼光鋭いのでナンパはしにくいと思うが、そんなこと言ったら、常日頃そんな顔つきになりかねない。
ナンパ対策は、亮にとっては長年の懸案事項なのだ。
それはそうとして。
須于が、忍のデジカメを覗き込む。
「上手く撮れた?」
「ああ、ほら」
出された画像を、皆が覗き込む。
「さっすが、忍だね」
「おおー、軍師だねぇー」
最後に、当人が、どことなくそっと覗き込む。
「……皆の方が、カッコいいかと思いますけど」
「え?そう?」
「今度の演習の時撮って撮って!」
なにやら、次回の演習は、実際の演習になるやら不安な感じもするが、今回はこれにてお開きである。

それから、変わった魚を買って来られて驚いたところとか、忍の写真は不意打ちだらけだ。
ともかく、どこから来るかわからないし、いつでも来る。
なんでもかんでも亮なら撮っている、と言っても過言ではないくらいに。
一回一回カメラへと視線をやっていた亮も、いい加減いつものことと慣れてきたようだ。
写真に撮られた、とはわかっているようだが、視線が泳がなくなってきた。

ある夜。
忍が居間へと降りていくと、亮がなにやら台所でやっている。
「お?なにしてるん?」
「麗花たちが、クレープを食べたいって言っていたので」
「作ってるって?」
忍は、朝食を食べるコーナーから、覗き込む。
キレイな薄卵色で、いかにも薄く焼き上がったクレープ生地が、確かに山積みになっている。
それに、一個一個、亮はクリームを搾り出し、果物を包んでいっているのだ。
その指の動きがまた軽やかで、ちょっと魅入られる。
「へぇ、美味そう」
思わず言うと、亮は軽く首を傾げてみせる。
「味見、してもらえます?」
「お、役得」
にやり、と笑う忍へと、出来立てのヒトツが手渡される。
「いっただきまーす」
がぶ、がぶ、と二口でいって。
「コレ、すっげ美味い」
「そうですか?良かったです」
にこり、と笑う。
その瞬間。
ぱちり。
「お茶、いれますか?」
亮が、首を傾げる。どうやら、本当に忍がシャッターを押すのは日常の当たり前のことになってしまったらしい。
くすり、と笑ってデジカメを振る。
「撮っちゃった」
「え?」
驚いて目を見開く亮へと、いま撮った写真を見せる。
「いいだろ、亮のイチバンいい笑顔」
亮はただ、眼を見開いている。照れているらしく、少々頬が染まっているが。
ちょっと得意そうに、忍は笑う。
「この顔撮りたくて、がんばってたんだぜ?いっつもカメラに反応して構えるからさ」
自分のいい笑顔を撮りたいと思ってくれる人は、ここにしかいない。
少々頬が染まったまま、亮は微笑む。
「ありがとうございます」

2003.04.06 A Midsummer Night's Labyrinth 〜Grab shots of Labyrinth II〜



[ Index ]