那緒乃サマよりいただいた第3遊撃隊♪


+++ 那緒乃優鈴 サマ +++

ステキなイラストをいただいてしまいました!
なんと、RPGスタート画面です。この姿で、ちょこちょことマップ上を歩くかと思うとたまりません。
鎧とか剣とかローブとかの細かさにもうっとりなのですが、個人的にかなりツボなのは、目つきの悪さがたまらない下列の『緋闇石』と『ふわふわ綿ボス(麗花命名、仮称)』であったりします。
かわいいイラストを、ありがとうございました!

で、いつものアレ↓です。



『 RPG? REPLAY! 』

「はい!納得いかないことがありますッ」
皆が揃うお茶の時間を見すまして、俊が手を上げ、声を上げる。
「指される前に質問するとはなっておらんが、まぁ聞いてあげようか」
尊大な態度ながらも、一応、続きを言うことを許してくれたのは麗花だ。
ここぞ、とばかりに、俊は息を大きく吸う。
「なんでゲームした時に、俺だけ運がえっらく低いわけ?」
「あ〜」
なにやら微妙なニュアンスの声で、忍と麗花が二重奏する。ジョーは手にしていたお茶を口にすると、なぜか窓の外へと視線をやり、須于はお菓子のお代わりを持ってきた亮を見上げて、素知らぬ振りだ。
二重奏をした二人も、微妙な表情で明後日の方向を見てしまっている。
亮は、なにを言い出したやら、という顔つきで首を傾げる。
「パーティーバランス、とかいうのではないんですか?」
「あり得ねぇ、どう考えたって、俺の運だけ低過ぎる」
力説する俊と、明後日の方向を見たまま帰って来ない四人を見比べ、亮は軽く肩をすくめる。
「では、そういうイメージがあるのでしょうね」
幻想誘発素子は、ドリームキューブと違って人の意思に大きく左右されるモノだからだ。
ずばりと言い切られて、俊は一瞬詰まったような顔つきになるが、すぐに切り返す。
「そう、だから、なんでそういうイメージなわけ?!」
明後日の方向を見ながら、ぼそり、と麗花が言う。
「ヤキソバパンとか?」
「男の人にナンパされたとか?」
須于も、ぽつり、と付け加える。ジョーが、更に一言。
「身長とか……」
「その他、今までの積み重ね多数」
忍に言われると、妙な重みがあるから始末が悪い。
ともかく、四人のイメージの中に、俊ってなんだか『運』が低い、というのがくっきりはっきりと存在していることが確認されたわけだ。
ちら、と俊は亮を見る。
「そうですね、間の悪い発言が多々見られるとは思いますが」
言い換えれば、似たようなモノであろう。
周囲全員が思っていれば、最凶の運の低さにもなろうというものだ。
「こうさ、罰ゲームつくろうぜ、罰ゲーム」
「罰ゲーム?」
怪訝そうに、麗花が問い返す。
「だからさ、本人納得いかないイメージを考え出したヤツに、なんかこう、ダメージとか、ペナルティとか」
確かに、当人にとっては、『運』が低いというのは、ありがたいことではあるまい。
本音を言ってしまえば、俊一人でやれば、何の問題もないだろうと思うのだが、当人満足でも周囲が大迷惑必至だ。
それに、今日のところは暇でもある。
「そうだねぇ、誰がなに想像してるのかってのも、面白いかもね」
にやり、と笑ったのは麗花。
忍も、あっさりと頷く。
「確かに面白そうかもな、前回で一応、クリアしたわけだし」
「ペナルティ付上級編ってところね」
須于も頷く。ジョーと亮は、口を挟まないところを見ると、別に反対でもなさそうだ。
「じゃ、決まりね」
身軽に立ち上がった麗花が、すぐに幻想誘発素子を手に戻ってくる。
「ではでは、三度、いきまーす!」
「だから、いきなり言うな!心の準備がー!」
自分から言い出した割には、情けない俊の声を残響に、あたりは白い光に包まれていく。

もうすっかり馴染みとなった森が、スタート地点だ。そびえ立つ高い木々も、その枝を渡り歩くリスとも鳥ともつかない動物も、見慣れたモノ。
「はーん、律儀なもんだな」
周囲と装備も確認してから、忍は口の端に笑みを浮かべる。
アルシナド城への招待を受けているし、仲間集めから始めることになるのも、今までと同じだ。
だとすれば、今までと同じ道を進めば、なにやらモンスターにぶちあたっている俊と出会い、ジョーと落ち合えるというコースになるのだろう。
俊がエンカウントするモンスターが少々手強いのだったとしても、ジョーがフォローに入るだろうし、今回は運が低いわけでもないだろうから、上手くすれば自分でのせるだろう。
と、なれば、毎回同じルートでは芸がない。
よくよく見れば、もう一本道があるではないか。
方向からいって、コチラに進めば、先に亮と合流することになるはずだ。
予測が当たれば『モンスターの通い道』にはまり込むことになるが、経験値を稼げるのはありがたいし、早く合流した方が有利に進む。
機嫌よさそうな足取りで、忍は進路を今までとは違う方向へと取る。
先ずは、ウルフというより野犬というのがぴったりのを切り捨てる。休む間もなく、もう一匹。
名の通り、勢い良くモンスターが出て来まくる。が、俊敏性は人一倍らしく、コチラが攻撃を食らうことはない。
魔法と違って、攻撃を食らわない限りはなにも消費するものがないから、レベルアップが進んでイイ感じだ。
ほどなく、大きくは無いが良く通る声が聞こえてくる。
亮が魔術の詠唱をしているのだ。
次の瞬間には、視界に氷の塊が出現し、モンスターごと砕け散る。
「へぇ、見事なもんだな」
聞き慣れた声に、亮は驚いた顔つきになる。
「どうしたんですか?」
「いや、よくよく見たら、スタート地点からもう一本道があったからさ、多分、亮と合流出来る方だろうと思って」
笑顔であっさりと言ってのけるのに、くすり、と笑って亮は肩をすくめる。
「なるほど?その様子だと、かなりレベルアップしたのでしょうね」
と、HPを追加する果物を出してくれる。
「削られては無いでしょうが、空きが多そうですから」
「サンキュー」
笑顔で受け取って、忍も自分が集めてきたMPを追加するサプリを渡す。
「ありがとうございます」
前回よりも随分早く合流したのに、亮は二粒手にする。
忍が軽く首を傾げて見せたのに、亮は笑顔を見せる。
「慣れれば、効率も良くなります。違いますか?」
「ま、な」
その点は、忍も異論は無い。
「さて、適当にレベル稼ぎつつ、合流と行きますか」
「そうですね」
一人ずつながらも前衛と後衛が揃ったこともあったのか、ものすごい勢いで『モンスターの通い道』のモンスターたちを掃討しつつ、集合地点へとたどり着く。
「あ、今回は先に亮と合流してたんだぁ」
笑顔で手を振ったのは麗花。にこり、と須于も微笑む。
「れ?あとの二人は?」
「それが、待てど暮らせど来ないのよね」
忍の問いに、須于が小首を傾げる。麗花が、手持ち無沙汰そうにぶんぶんと手を振り回す。
「須于と一緒にそこらのモンスター当たりまくってレベル上げてたんだけどさ、いい加減、ここのモンスターじゃほとんど経験値稼げなくなっちゃったし、暇なんだよねぇ」
この森にいるモンスターにあたっても経験値をほとんど稼げないのは、忍たちも一緒だ。『モンスターの通い道』での遭遇率は、前回にも増して凄かった。上級編たるゆえんだろうか。
「ジョーが一緒のはずですが……」
二組ともが経験値稼ぎまくり状態なのに、まだ到着しないというのは不自然だ。
「今までは遭遇しなかったモンスターが出たのかなー」
「ひとまず、迎えに行ってみるか」
「そうね、このまま待ってても、らちがあかないみたい」
四人して、俊たちが通ってくるはずのルートを逆行しようとした時だ。
「いい加減にしろ、これで何度目だ!」
飛んできた罵声はジョーのモノだ。
だいたい、ジョーが大声を出すという場面事態に遭遇したこと無い四人は、一斉に顔を見合わせる。
が、次の瞬間に聞こえてきた音は、間違いなく大型のモンスター出現だと察して、すぐに走り出す。
案の定、すぐに巨大な影が見えてくる。
「うーわ、でっかいねぇ」
素早さでは最高を誇る麗花が先制し、すぐに忍が切りつける。
「つか、なんで初期ステージにマンドラコラ?!」
次の瞬間には、亮の雷系上位魔法が炸裂し、邪悪な顔で口を開きかかった姿のまま、黒焦げになって消えていく。
灰が流れていった後に、ぼろぼろの姿のジョーと俊。
ジョーは、いまだかつて見たこと無いほど、不機嫌な表情だ。
とにもかくにも、先ずは須于が治療と状態異常解除をして、やっと一息、といった風情。
「なにがどうなってるわけ?バグ?」
「違う」
ぼそり、とジョー。
そして、それじゃなくても細い眼を、強烈にほそーくして俊を睨みつける。
「悪気ないって、ゴメンってば!」
俊の方は、ひたすらに謝り倒すばかりだ。
「もしかして、罰ゲームですか?」
察しが良いのは、相変わらず亮だ。
「当たり」
ぼそり、とまたもやジョー。
「あー、他人に勝手なイメージ押し付けると罰ゲームっていう、アレ」
ぽん、と手を打ったのは麗花。どうやら、罰ゲームは強いモンスターの出現であるらしい。
罰ゲーム内容はともかくとして、珍しく納得がいっていない表情なのは忍だ。
「今まで、なにも食らってないけど?」
「あ、私らもそうだなぁ、このステージで会う予定のモンスター以外は」
麗花の言葉に、須于も頷く。
「そうね」
「確かに、遭遇率は上がっていますが、分相応でしたね」
亮も、軽く記憶を辿る視線を戻して頷く。
「俺も、俊と合流するまではそうだった」
吐き捨てるようにジョー。
「…………」
五人の視線が、誰からとも無く俊に集中する。
「だから、ゴメンってば」
ようは、自分で指定した罰ゲームに、最もひっかかりまくっているのが御当人、と。
合流したジョーの方は、かなりイイ迷惑である。
「しかも、即死率が高い」
即死率、とは、モンスターによって持っている即死効果のある攻撃を喰らった時に、実際に即死する確率のこと。もっとも、そんな恐怖な技持ちは、普通にプレイしていれば、後半にならなくては出現しないはずだが。
「って、運が低いってことじゃん」
きぱっと麗花。今度は、須于が首を傾げる。
「でも、誰かなにか喰らった?」
皆、一斉に首を横に振る。
「幻想誘発素子も、納得済みということでしょうね」
亮のトドメの一言。
「これで運が高いと信じろと言う方がおこがましい」
散々、俊のせいで高位モンスターに当たり続けたジョーが、いつもよりも一オクターブは確実に低い声で更にトドメを刺す。
「あーもう、わかったから勘弁してくださいー!」
とうとう、俊が泣きを入れる。
「さーて、どうする?」
にやり、と笑みを浮かべて忍が問う。即死しまくっていたせいで、どうやら俊のレベルは低いままらしい。
代わりに、ジョーは笑うくらいにレベルが高い。
「そこそこのレベルはありますから、綿ボスくらいは行けるんじゃないですか?」
「そうねぇ、綿ボスくらいはクリアしたいよねー」
というわけで、決まりだ。
さらに散々、後半戦出現予定のモンスターが出まくったが、さすがに六人揃っているのでてこずる程度でざくざくと進む。
ふわふわ綿ボス(麗花命名、仮称)にたどり着く頃には、相変わらず即死しまくり(しかも戦闘中に回復してもらえず)の一人以外は、間違いとしか言いようのないレベルになっている。
当然、皆のけん制など全く必要なしに亮が燃やしてのけ、ステージクリア。

上級編は、その時点でセーブされたまま、進んでいないらしい。

2004.02.23 A Midsummer Night's Labyrinth 〜RPG? REPLAY!〜



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