那緒乃サマよりいただいた陳大人


+++ 那緒乃優鈴 サマ +++

五連荘でステキな絵、第五弾です。
アファルイオの裏組織、蛇牙の陳大人。今回は渋線の人を多くいただきましたが、最も驚きました。
お茶が似合うのがなんとも言えません。ありがとうございます。

件の後の小景を↓。



『 亀の甲より? 』

一見無表情だが、実のところは剣呑な目つきの雪華に、陳大人は糸のよらな目をさらに細める。
「はて、何ぞしたかの?」
「アファルイオの恥になる真似はお控えいただきたいものです」
瞬きをしてから、いくらか首を傾げる。
「ふうむ?スカイハイはありがたくは無いと思うていたが」
「入った後で締められないっていうのなら、存在意義も地に落ちたということです。解散した方がよろしいですよ」
声にならぬ笑いが陳大人の口から漏れる。
「これはなかなかに手厳しいのう。老い先短くなると、我慢もきかなくなるようでの、ああいう船に乗ってみたくなるのよ」
「慰安旅行がてらですか?」
白い視線に、苦笑が浮かぶ。
「ダシにされたようでの」
のらり、と言ってから、付け加える。
「にしても、機嫌が悪いのう?」
「冥土の土産話にするにしたとしても、あまりに考えが足りなすぎます。実際行動に移してしまうくらいだから、考えが至ると期待する方が愚かということですか?」
雪華はまったく堪えた様子も無く返す。
陳大人は、ほんの小さなため息を吐く。
「相変わらず、きついのう。大方、リスティア入国前に乗り込んだのが気に入らんのであろう?」
返事は返らない。
「好好、お前さんに一つカリじゃ」
はじめて、雪華の口元に薄い笑みが浮かぶ。それを見て、陳大人はもう一度、小さなため息を吐く。
「いろいろと高くつく旅じゃったのう」
金銭面でも、カリの面でも、だろう。Le ciel noirが黙っているとは思えない。
「後悔している顔には見えないですが?」
声の無い笑いが、陳大人の口から漏れる。
「なかなか面白いのに出会っての。お前さんは知っておるんじゃろうが。ほれ、迷宮とか言うたか」
微かに大きくなった笑みが、雪華の返事だ。
陳大人は、楽しそうに続ける。
「にしても、あれだけ礼儀を心得ておるとはのう。特にあれじゃ、一人はアファルイオ系かと思うたわい」
一瞬、雪華が盛大に吹き出しそうになったのを堪えたのは、どうやら陳大人に気付かれずに済んだようだ。


2005.12.04 A Midsummer Night's Labyrinth 〜Wisdom grows with...〜



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