那緒乃サマよりいただいた沙羅


+++ 那緒乃優鈴 サマ +++

六連荘でステキな絵、第三弾です。
18thの沙羅です。美人ですし、背後の水もとてもキレイです。
ありがとうございます!

過去の一景を↓。



『 苦い真実 』

堂々と告げてやるはずだったのに、声が震える。
「さ、沙羅に手を出すのはやめてもらおうか」
彼は、いくらか目を見開く。
晴天の霹靂であったのに違いない。
大きく息を吸う。
順序だてて少しずつなど、とても無理だ。
「僕と沙羅とは、ずっとずっと一緒にいたんだ。この時間は、誰にも負けない。お前なんかよりも、ずっと沙羅のことを知っているのは僕だ。誰よりも、沙羅を想っているのは僕だ」
一気に言ってのける。
ややしばしの間の後。
彼は、静かに口を開く。
「確かに、時がはぐくむ想いもあるだろう。でも、時など簡単に越えてしまう想いもある」
なんの曇りも無く澄んだ瞳が、まっすぐに見つめている。
「沙羅が、君の想いを知り、それを受け入れるというのならば、その時は一人で帰ることになるだろう」
「な……」
ふ、と彼の目元に寂しさが宿る。
「彼女が幸せなのが、なによりも大事なことだから。君も、そうだろう?」
疑いもせず問われて、唇がわななく。
「と、当然だ」
違う、何を言っているのだ、この男は。
幸せになって欲しいんじゃない。
幸せになりたいんだ。
彼女がいないと、幸せになれないんだ。
違うのか、この男は。
いや、そうじゃない。
自分などより、ずっと大きいのだ。
心のどこかで、気付いていたことを思い知らされる。
彼は、彼女の本当の幸せを願うことが出来る。
そんな彼に、彼女が惹かれるのは当然のこと。
それでも、想いは抑えられない。
彼女がいなくては、幸せになれない。
もう、自分に残されている選択肢は一つしかない。
それは、彼が言うように、彼女へと想いを告げることではない。
そんなことをしても、彼女は自分へと振り返りもしない。
だから、やるべきことは一つだけだ。
彼女が他人のものになることなど、絶対に許すことは出来ないから。


2006.03.19 A Midsummer Night's Labyrinth 〜As bitter a truth as it may be〜



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