サネさまからいただいた旅人♪♪♪


+++ あづま笙子 サマ +++


いただいてしまいましたよ!!!(狂喜)
オリジナルの話に絵を!!!笙子さんからー!!!!!(乱舞)
このヨロコビを表現しきれぬままに、NOVAうさぎ歩き(得意絶頂)♪
私が旅人描く前ということで、想像のままに。
無から想像していただけたんですよー、どうしましょう、ホント。
旅人というより、魔法使いのイメージなのだそうでございます♪
鳥は、不死鳥風か烏か、ということだったので、あえて烏を私がリクエスト。
魔法使いには、烏が似合う♪
色は、ルリカケスという烏系の鳥なんだそうです。
衣装の無国籍さとか、布がかかってますます怪しげなカゴとかツボすぎ。
ちゃんと口元笑ってるところも♪
幸せのあまりに卒倒しそうです。
ありがとうございます(><)!

彼が立って異質な場所は、刺繍の道の砂の上と見ました。
そんなわけで、おまけの小話でございます。


 の砂蝶

旅人が歩いている。
その左手に下げているモノを、先ほどから睨みつけるようにして見つめている彼女が、一人。
少女と女の間、その表現が、ぴたりとくるだろう。
彼女は、ぶっきらぼうに口を開く。
「そのカゴの中には、なにが入る?」
形は鳥かごにそっくりだが、その柵の間隔はひどく広い。
小鳥だけではなく、たいがいの動物は逃げ出すことができるだろう。
「君は、なにが入ると思うのかな?」
旅人は足を止め、そして、やわらかに微笑む。
姿が、声が、彼を異質の者だと告げている。
それでいて、尋ねずにはおられなかったのだ。
彼女は、きゅ、と唇を噛み締める。
旅人はきっと、彼女が気付いているということに、気付いている。
彼女は、挑むように言い返す。
「私が訊いたの、答えてもらわなきゃ」
旅人は、静かに目線を彼女へと合わせる。
「君の望むモノを、なんでも」
「私の望むモノが、そこへ入るものか」
噛み付くように、彼女は言い捨てる。
旅人は、高くも低くもない、それでいて音楽のような響きの声で言う。
「例えば、届かぬ相手の想い、やり直したい時の流れ、君にそういうモノがあるのかい?」
初めて、彼女の瞳が、ぎくり、と揺れる。
知っている。
この異質な者が、己の望みを叶えることが出来ることは。
賢い彼女は、知っている。
己の望みを、ただ叶えるだけの存在など、ありはしないことを。
「なにを、引き換えに?」
くすり、と旅人は笑ってから、答えを返す。
「君の持つ、イチバン綺麗なモノをヒトツ」
人の力をもってして叶わぬ願いを通すには、それ相応の対価が必要だ。
旅人の口にしたそれは、正しいと彼女は思う。
己が望むことを、叶えるのならば。
「私の持つ、イチバン綺麗なモノはなに?」
「常に賢くあろうとする、その心」
ふ、と彼女の顔が歪む。
「……そうか、賢くあれればいいと、望みつづけていたが」
半ば、独り言のように呟く。
しばしの沈黙の後。
「やはり、愚かになりさがるしか出来ないか」
す、と視線を上げる。
「この、夕日に染まる砂の色の、蝶にしてくれ」
「君を?」
「そうだ、そして、この砂を忘れ去ったあの人の元へ、届けてくれ」
迷いの無い、ますぐの視線が旅人を見つめる。
「一瞬でいい、この砂を思い出してくれるように」
旅人の笑みが、少し、大きくなる。
「では、カゴに君が変じた蝶を」
言ったなり、ごう、と風が吹く。
砂が舞い、そしてまた、視界が開けた時には、誰もいない。
ただ、カゴの中には、燃えるように砂の大地を染める、夕日を映したかのような茜の蝶。
「ほら、捕らえたよ」
旅人の声に応えるかのように、蝶ははためく。
「では、約束どおり、あの人の元へ送ろう」
旅人は、ゆっくりとカゴの中に手を差し入れる。
そっと羽をつまみ、手を引き抜く。
キラキラと夕日に煌いたあと、蝶は熔けるように消える。
旅人は、歩き始める。
しばらく、歩いた頃に。
ふわり、と肩に空に溶けそうなくらいに青い鳥が舞い降りる。
その羽といい、翼といい、美しいという表現が相応しいが、その足にある爪は細くはあるが鋭い。
鋭利な刃物のように。
旅人は、にこり、と笑む。
「お疲れサマ」
右手をかざし、なにかを掴みとって、また開く。
どこか鋭い光を帯びた、手の平の上のそれを青い鳥はついばむ。
「己の想いのために、賢さを捨てたか」
「砂を忘れた男に、砂を思い出させることが望みだったのだと」
「ほう、あの蝶は届いたのかな」
「届けたよ、それが望みだったからね」
鳥は翼を大きく広げる。
「男は砂を、思い出したかな」
「さて、それは男次第だね」
空に舞い上がった鳥を見上げ、旅人は肩をすくめてみせる。
「次は、どんな依頼人がくるやら」
鳥は羽ばたき、また、旅人は歩き出す。

2003.02.03 A stranger with a cage 〜A madder sand butterfly〜



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