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笙子さまからいただいたアイリーンとポリアンサスともう一人♪


+++ あづま笙子 サマ +++


執筆決定お祝いでいただきました!
ありがとうございます、至福過ぎて卒倒しそうです。
いいですよねぇ、女の子。しかも美人二人。
ああ、あの二の腕もまたたまらない……(どこ見てるんだこの人は)。
え?なんか今見るには涼しげですって?
それは、どこかの誰かが書くと宣言してから書き上げるまでに、アホみたいに時間がかかったからで(がくり)。
そんなことはともかく、ひっそりと背後でぶーたれてるベックがカワイイと思います。
ステキお祝い、ありがとうございます!

でで、ひっそりとまた、なんか書いてみたりとか。



 街的相遇  アルマチノデアイ

嬉しそうに笑みを浮かべたのはポリアンサスだ。
「あ、日の市やってるー」
「ホントねぇ」
アイリーンも、のんびりと頷く。
そろそろ補給も必要だと、仕事関係無しに訪れた町は明るいさざめきに包まれている。
日の市は、週に一度の休息日に行われる、この地方独特の習慣だ。真剣な商売をしようというのではなく、それぞれ持ち寄ったものを交換したり、飾ってある手作りの作品を鑑賞したり。
なんとなく、皆でのんびりと過ごす日、という感じである。
無論、宿などで頼めば、行き過ぎる旅人たちに必要なものは揃う。
「ほら、宿探さないと」
ニールの言葉に、ポリアンサスが肩をすくめる。
「だぁって、私が行ったって、なにも持てないもの」
「僕も僕もー!」
現金に言いながら、ベックもアイリーンの肩へと飛び移る。補給のほとんどは、重い荷物だ。ということは、アイリーンも持てる物は少ない。
ましてや、両肩に二人が乗ってしまっている状態では。
リフが苦笑を浮かべる。
「あまり、長居は出来ないが」
仕事をする町まで、あと一息なのだ。
「じゃ、軽く見て回って馬車に行ってるわ」
「ああ」
アイリーンの言葉に頷いて、リフとニールは歩き始める。
二人の後姿を見送ってから、アイリーンは両肩を交互に見やる。
「それで、どこか見たいところはある?」
「見なきゃわかんないよ」
ベックに返されて、くすり、と笑う。
「それもそうかもしれないわね。右回りに歩く?左回りに歩く?」
「右よ、右」
今度の問いに返したのはポリアンサスだ。
「あら、キレイなお花ね」
すぐに、ポリアンサスがなにを見たいのか理解して、アイリーンは歩き出す。

「なぁなぁ、そこのかわええお嬢ちゃん方!」
独特の言い回しに、ポリアンサスもアイリーンも、思わず視線をやる。
好青年の部類に入るだろう顔立ちの青年が、細い目を更に細めながら、にっと笑っている。
「そうそう、二人とも、かっわええねぇ!絵、描かせてや」
手招いてみせる。
かわいいの連発にいくらか気を良くしたらしいポリアンサスが、ちら、とアイリーンを見上げる。アイリーンも、いったい何者なのかと興味がわいたのだろう、青年へと歩み寄る。
「お兄さん、どっから来たのぉ?」
ポリアンサスの問いに、青年の笑みが大きくなる。
「ずっと西の方」
「ふううん」
どのくらい西なのかと考えるように首を傾げるポリアンサスに、青年が笑う。
「そういうお嬢ちゃん方やて、旅のお人やろ?」
笑顔が返事だ。
「袖摺り合うのも多少の縁てな。旅の思い出に似顔絵描かせてや」
アイリーンとポリアンサスは、どちらからともなく顔を見合わせる。
「日の市やし、金いらんで。時間もちょっとでええし」
どちらからともなく、口元が笑う。
「じゃあ、お願いしちゃおう」
と、ポリアンサス。
ぱん、と青年は手を打つ。
「よっしゃ、決まりや!じゃ、二人でなぁ、相向かいに……」
言いかかったところで、ずーっと無言で見つめていたベックが抗議の声を上げる。
「ちょっと待ってよ、僕は?!」
「ムサイやろうには、用ないねん」
きっぱりはっきり、あっという間に言ってのけられて、ベックはむくれるわ、ポリアンサスは大笑いするわ、思わずアイリーンまで苦笑してしまう。
「ああもう、わかったよ、俺はのけてますようだ」
ぶーっと言ってのけて、言葉通りに、離れたところに腰を下す。拗ねてるらしく、そっぽむいて足をぶらぶらとさせている。
「かわいく描いてねぇー」
楽しそうに言うポリアンサスに、青年は笑う。
「そりゃ、かわええ子描いたらかわいくなるで」
「うまいなぁーもう」
「これで売り込まれてたら、なにか買っちゃいそうね」
アイリーンも笑う。
楽しそうな笑い声が響くことしばし、青年はに、と満足気に笑みを浮かべる。
「ほうら、完成や!」
くるり、とアイリーンたちの方を向いた絵を覗き込んで。
「うわー、上手上手ー」
「ホント、ステキ」
嬉しそうに言いつつ、二人共、爆笑し始める。
ちらちらと様子をうかがっていたベックも、あまりの二人の笑いように出来が気になったらしい。
近付いてきて、覗き込む。
そして、目を見開く。
確かに、青年の絵は上手かった。ベックの視線からいけば、いくらか美化されてるような気がしないでもないが、二人共良く似ている。
が、問題はそこではない。
二人の間だ。
ぶーっと頬を膨らませているのは、間違いなくベックだ。
「あああああああ!」
その反応に、三人がますます笑うもんだから、ますますベックは頬を膨らませる。

記念にと渡された絵を、リフとニールに見せたところ、ニールはともかく、声を立てて笑うことが珍しいリフまでもが大笑いし、ベックはいまだかつて無く頬を膨らませたのであった。


2004.10.19 Vespertin Masic 〜mou jie de xiang yu〜



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