[  ]

龍鳳天祥


□ ストーリー
赤壁後の劉備の荊州攻略、孫権妹との政略結婚


□ 感想なぞ
ストーリーは間違いなくわかると予測されるけど、台詞の中国語が理解できない不安を抱きつつもプログラムを購入して、確認。
なんと、中国語の台詞全部と対訳が付いてるじゃないですか。丸暗記できれば勝ったも同然ですが、開演まで十分では無理があります。
もちろん、舞台両脇には訳が出ます。

最初は襄陽と南郡を陥落させ、凱歌を上げる劉備軍の登場↓。
水魚
両脇は趙雲と張飛が固めていますが、武生の衣装の絢爛さがたまりません。
中国語独特の抑揚とリズムと台詞のテンポの良さが、すごく耳に心地好いです。
台詞だけでなく、状況説明には歌なども。
さて、主従の前に糜芳が登場。呉からの使者として賈化がやって来たことを告げる。
不信がる劉備に、孔明は余裕のコメント。
「また周瑜の策でしょう」
言外に気にするほどのことは無いですってニュアンスたっぷり。ステキだ、軍師!
書状の内容は、劉備に妹を嫁がせたい、というモノ。
警戒しまくりの劉備をよそに、孔明、あっさりと承諾。
その後、お約束通りの張飛と趙雲の桂陽攻め先陣争いになるのですが、孔明はくすくす笑いながら劉備になにやら耳うち。
それを聞いた劉備も、喜びながら張飛に耳うち。
「へえ!そりゃいいや、俺、譲るよ!」
と張飛も嬉しげに、趙雲に桂陽攻めを譲ってしまいました。↓
仲良しさん
張飛が、趙雲をかわいい弟分みたいに扱ってるとこが微笑ましい感じ。
ここで孔明、趙雲にヒトツだけ忠告。
「龍たるもの、鳳には七分譲りなさい」
目出度いと言われたり、急に譲られたりで謎を背負ったまま、趙雲は桂陽攻めへ。

さて、桂陽城の方では、降るべきか攻するべきか決めあぐねた趙範夫妻が兄嫁である樊玉鳳にお伺い。
彼女は才色兼備らしく、彼女の鶴の一声で降ることに。
そんな彼女は、攻め寄せるのが天下に聞こえた趙雲と知ってドキドキらしい。
それを見た趙範夫妻、大盛り上がり。
再婚話を持ちかけよう!こりゃメデタイ!てなもんです。で、盛り上がり過ぎで、趙雲の怒りを買うことに。
演義と同様に、再婚話に怒って攻めかかる趙雲に、元々敵わぬ相手と降ったのだから、趙範たちはおおわらわ。
困った挙句に、武術にも秀でた樊玉鳳に出馬を願うことに。
憧れの趙雲にフラれた樊玉鳳嬢、怒ってます、強いです。
戦場で一騎撃ちまで持ち込んで、見詰め合う趙雲と樊玉鳳。
どうやら、互いに一目ボレの模様。
戦場で花咲く恋(笑)
名を尋ねて、彼女は軍師殿の言っていた「鳳」なのだと気付いた趙雲、手加減して敗れ去って逃げます。
そうこうしてる間に、趙範夫妻は劉備にコトの成り行きを説明。
やっと事情を理解した趙雲が謝って、メデタシメデタシ。
わかってるなら、最初から奥さんになる人が桂陽城にいるって教えてやれよ、孔明。ヘタしたら趙範夫妻、趙雲に殺されてたのでは。
メデタク桂陽をおさめた劉備たち、いよいよ周瑜の計略待つ呉へと向かうことに。
もちろん、お供は趙雲。孔明は、例の錦の袋を預けます。

周瑜の罠が待つ呉の国へついたなり、孔明の命を含んでいる先駆けの樊虎が「こりゃメデタイ!」と大騒ぎ。
訊きつけた喬国老が、びっくりして向かえて呉国太に報告。
ものすごい速度で、周瑜の罠は孔明の思惑通りに書き換えられていっております
ここらへんの展開は演義とまったく同じ。
呉国太が、「娘をエサに暗殺とは!」って怒って、甘露寺で劉備に会うと息巻くあたりも。
もちろん、賈化が孫権に命じられて暗殺すべく潜んでいるところも、バレて怒られるところも。
しかし、この賈化がステキ。
持てる限りの武器を、そこら中に持っている。
長剣短剣は当然、槍、斧、鉄槌、あるわあるわ。
呉国太に「暗殺しようとしているのは本当か?来なさい!」と呼び出されて、慌てて持っている武器を外していくのですが、置いても置いても終わらない。
「アレ?まだある?」
みたいなことを言いながら、一生懸命外す姿がユーモラス(賈化は道化役)。
やっと、外し終わった、と安心して歩きかかって、もう一度振り返って。
「チョット、待ッテ」
くっきりはっきり日本語で言ってから、最後の武器を降ろしたときは拍手喝采。
めでたく婚礼まで漕ぎつけたところで第一幕は幕。

第二幕は、趙雲が袋の秘計を発動させ、劉備が荊州へ帰ることを孫夫人に告げるところから。
劉備に心底惚れている様子の孫夫人、迷わず一緒に帰国すると宣言。
演義同様の逃走劇が始まりますが、今回は呉国太の宝剣という力強い武器が。
どうやら、呉国太も劉備を大変お気に入りのご様子で、娘に劉備と共に荊州に帰還して良いとの許可を与えた模様。
周瑜に命じられて追う四将、完全に形無し。
しかし、周瑜も負けてはおりません。とうとう追い詰めたと思ったところで漁夫姿の孔明登場。
無事、船に乗って脱したものの、別ルートで追ってきた四将を迎え撃っている樊玉鳳嬢がピンチ。
趙雲が絶妙のタイミングで助けに入り、見事、四将を撃退。
しかも、国境には張飛の軍が。
張飛にすら、軽くあしらわれてしまった周瑜。
「天は周瑜を生まれさせながら、何故、孔明まで!」
という例の名台詞(?!)と共に、血を吐き、退場。
見事なまでのお約束通りに、つい拍手喝采。
かくして、最後は二組のお祝いで、笑い声が響く中、幕。

字幕のおかげで台詞を追うのにそう苦労がなかったのと、ストーリーを知ってたのとで楽しかったです。全部で二時間半くらいだったと思うのですが、あっという間。
歌舞伎に比べると、すごく庶民的。中国では身近なんだろうなと。京劇、一発でファンになりましたよ!


[  ]