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三国志 見龍御甲


□ ストーリー
長坂破直前(博望破代わり?)から、長坂破、(時空跳躍!)、五虎将軍拝命、(時空跳躍!)、北伐途中での趙雲没まで


□ 感想なぞ
これは、世にも恐ろしい鍋の呪いにかかった三国志映画の鑑賞日記である……

アンディ・ラウ主演の、趙雲主人公の映画。
かなりオリジナルストーリー。

まとめとしては、「鍋が悪い
色々と考えた結果、友人とそういうことで落ち着きました。
何が鍋って、映画公式ページをごらん下さい。
のっけから、鍋兜がお出迎えです。
そう、なぜか兜が鍋。なぜに鍋。大軍シーンなんて、画面いっぱいに鍋。ともかく、鍋。
ついでに、公式ページでストーリーなぞ確認していただけると、その後の話が早いです。

心底B級なら最初から最後までお腹抱えて腹筋鍛えますし、感動ストーリーなら泣いてくるんですが、どっちも出来ないという謎の映画でした。
いや、泣けるシーンにくるとね、どどーんと鍋がね……
必ず、鍋があるんですよ、ソコに。
どんなにステキなシーンでも、結局鍋なんですよ。うっかりすると、画面目一杯ですよ。
見終わった後、これほど、この宙ぶらりんの気持ちをどうしたらいいんだろう、という心もとない思いをする映画も少ない、というか初めてであります。
大笑いするのは違うし、かといって素直に感動するのもかなり違う……
だがしかし、美味しいシーンも山とありました。
全編通して、アクションは二重丸です。
よほどの趙雲ファン、劉備軍ド贔屓(というか私のように少しでも美味しければなんでもいいよ!)というタイプ以外は、別に見に行かなくていいです。
腹の底から大笑いっていうより、思い出して「フヒヒヒヒヒヒヒ」とかいう変態的な低い怪しい笑いが漏れる映画でありました。


美味しいシーン編

最初の戦。曹操軍の大軍を前にピンチの劉備軍前線隊に、どこからともなく現れて「今晩の雷雨に乗じて奇襲すればいい」と作戦を授ける孔明。
雨の降り始めの中、作戦開始で慌しくなる軍中、一人で荷を背負って傘をさし(雨予測してたから)「ここは勝った、次を助けにいかねば」と一言残してさらりと立ち去る。

長坂破直前、阿斗と夫人を見失った同郷の士(先輩なので義兄弟っぽく兄と呼んでる、オリジナルな人)を庇った為に張飛とやりあう羽目になるのですが、ここの二人の立ち回りは映画中でも白眉かと。
中途、止めようとした関羽が、うっかりヤル気になってしまったあたりも面白いけど、三人で大暴れなのを、双剣でぴたりと止める劉備がものすごくカッコいい!

いざ長坂破で、せまる曹操軍は関羽と張飛が引き受けてくれるんですが、三人で馬で並走してて、いよいよ別れる直前の会話。
関羽「よし、ここでお別れだ(大軍は引き受けるから)」
趙雲「また会えるか?」
関羽「役目を果たした後で」
張飛「(無言で、がっつりと頷く)」
萌え死にそうです。こういう劉備軍の絆は本当にイイ!

五虎将軍就任式、たったこのシーンの為だけに黄忠と馬超登場。決めポーズ付。
ありがとう、ナレーションだけで流さなくてありがとう!(もう劉備軍ひいきならなんでも良さそうな)

北伐で趙雲が外されそうになって、「俺を入れないのはどういうこと?」と詰め寄るところの孔明との会話。
会話というか、視線でのやり取り。
言葉以上の何かが、ものすごくイイ。
お互いにわかってる、という感じで。
それよりなにより、ジジイの趙雲カッコいいよ!

関興と張苞、最初のケンカっぽいシーンが来るんですが、趙雲が登場したなりユニゾンで「叔父上!」

あと韓徳がスッゴイかっこいいよ!
こんなにステキにカッコいい韓徳が拝めるなんて想像もしたことなかったよ!
息子四人が出るまで、趙雲に息子一同一気に殺られ、怒って飛び出したら自分も殺られたアノ人か、と気付けなかったくらいに存在忘れてた……
古今東西の三国志中、最もカッコいい韓徳であると保証いたします。


隅から隅までツッコミどころ満載でどうしましょう編

何の呪いがかかると、兜が鍋になるんですか?

博望破だか長坂破直前で趙雲が兵志願ってなんですか?しかも故郷出て二年ってどういうことですか?

荊州で戦ってるはずなのに、曹操軍避けて寄る場所が鳳鳴山ってどんな地図の中華大陸ですか?

しかもその鳳鳴山の砦はどう見てもチベット仏教の寺なんですが?
曹操軍のトップが仏教に帰依とか、本気であり得ないから!

最初の砦も、どうみてもチベットの魂祭ってる系の場所にしか見えんとです。

曹操、孫娘が跡継ぎのあたりはツッコまないでおくが、幼女を戦場、しかも最前線に連れて来るな。

アクションはイイ、確かにイイ、だがしかし、阿斗を背負ったまま背中から落ちるのは止めて。しかも回転しまくり。これで脳みそかき回されすぎたんちゃうか。

だから、なんで劉備軍はそんなに個別玉砕が好きですか?軍師の存在は何の為ですか?

仲の悪いままの関興と張苞とか、死亡フラグ立ちすぎですから。

ケ之はいつから猛将になりましたか?

某人の裏切りフラグが大きすぎて燦然としすぎて眩しいです。
いつでもどこでも、原色赤色大旗立ててるように見えます。
というか、普通、主君の家族護衛失敗の時点で、死なないにしろクビだと思うんだ。

何日も鏃を抜かずに置いたら、キレイなままあるわけないどころか、抜けなくなります。
というか、間違いなくソレが原因で死ねます。

最後、「趙雲を捕らえる」って言ってる割に、弓が万と満と引き絞られてるのはどういうことですか?


多分、力が入ってるシーンをやりたいが為の映画だと思うんですが、他の設定の破綻が大き過ぎてどうしたものやら。
普通に演義のベースで充分にやれるシーンばかりなんですよね。
どうしてここまで粗悪な設定になっちゃたんだろう?
やはり、鍋の呪いでしょうか?


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