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レッドクリフ パート2


□ ストーリー
連環の計っぽいモノ、赤壁本戦


□ 感想なぞ
ご馳走様でした。美味しくいただきました(合掌)。
今回は孫権軍のターンだと思ってたんですが、蓋を開けたら「ずっと劉備軍のターン!」でした。
今回も、字幕版鑑賞です。

先ず、パート1のあらすじを含んだオープニング。
最初の決め台詞は我らがご主君です。劉備です。
「民を守れずして、何の為の戦いか!」
ありがとうございます、コレが再度聴けるとは。
軍師殿も、らしく決めてました。
シーンの繋ぎが、剣で麻を切り裂いてくっていう演出も良かったです。前回の、錆付いた剣が、時を遡るように美しくなっていって、一気に世界に入ってくのもすごくイイ演出だと思ったんですが、今回のもステキでした。

で、曹操軍には史実、演義共通の風土病が蔓延するわけですが。
曹操、死者(病原菌付)を小船に乗せて、対岸へ流します。
怖ッ!なんて思いつつも、曹操らしい冷徹さで、個人的にはむしろプラス。彼には、あくまで勝利を得る為の現実主義者であって欲しいし、それでこそ彼だと思うので。
ものすごい悪役演出とも取れる、後刻の病人たち相手の演説でも思ったこと。
例えソレが病人たちを煽る為の演技だったのだとしても、一平卒の名を知っていて、正確に呼んで見せ、そして聴衆全員をその気にさせるカリスマ性。
税免除のあたりとかも、モチベーションの上げ方を知ってる。ぞっとするくらいに目と言葉と声がいい。
まさに曹操なんですよね。
政治的、軍事的才覚に優れ、人たらしであり、人材ハンターである彼は真に最強。あの時代、全てを席巻しかけたのは当然。
その彼がヒールを引き受けるからこそ、物語は最高に盛り上がる。
ラスト、完敗を喫してさえ、孫権を飲んでみせる度量。
曹操はきっちりと実力者である面、そしてヒールらしいヤバイ側面もがっつりと、で。本当に魅力的でした。

さて、話は戻って疫病が連合軍にも。
ここの孔明が!疫病とわかったなりの焦り具合が。後にも先にも無い焦りようで、声も高く、「触るな!離れろ!」
あの必死さが、他ではずっと余裕だっただけに良かった。
その後の薬処方も彼の役目でして、もう美味しいったら。
ちなみに、この疫病で劉備軍離脱。
劉備、くっきりはっきり「我が軍が滅びるのはたまりませんので」
で、孔明のみ居残り。
まあ、作戦です。当然ですが。

我が君、さらりとやってのけます。今回の我が君も、前回に引き続きステキです。
史実の彼は、大変に機を見るに敏とされてるわけですが(なんせ、曹操に負けて生き延び続けてる)、その才能を遺憾なく発揮。
立ち去り間際、わざわざ聞こえよがしに孔明に色々と語る。しかも、ありそうな事を。
あまりにリアルだったのか、関羽や張飛、趙雲にまで責められるんですよ。仁義を通さないなんて!とかと色々とね。
でも、ソレを淡々とかわして、まんまと曹操軍背面をつく奇襲に成功します。
成功が見えた時の、独りごちるシーンなんて渋くて最高。「予定通り」みたいなことを、さらっとね。
ちょ、我が君!侮れなさ過ぎですってば!と大笑いしたくなるくらい。
更に本領発揮の、赤壁奇襲戦。
孫権軍の正面攻撃と同時なんですが、奇襲開始時からは、むしろ奇襲戦の映像の方が多いような……?
それはともかく、門破りラスト突入なんですが、入ったなり周囲確認、状況把握(一瞬)。敵軍の馬を放つことを指示。更に相手方の混乱を呼ぶ。
孫権軍と合流後の曹操本陣攻めの火計(というより爆破攻め。一気に騎兵隊を一掃するくらいの大爆発作戦)を避けるのに、劉備軍、孫権軍、其々が盾を四方に張り巡らすんですが、コレを最初に破らせるのが劉備。しかも動きが一枚岩。
軍の結束の強さを見せつけです。
そして、本陣の壁を破るのに率先して槍投げ。コントロール抜群です。兵らもすぐに指示に従い、ものすごいスピードで本陣突入。
投石器にまっしぐらなのは殿のみでした。爆弾っぽいの投石してて、被害甚大なのを把握してるんですよね。ま、投石機に持ち上げられちゃったのはご愛嬌ですけど(笑)。
主に接近戦が多かったんですが、一瞬、双剣?!と見まがうくらいに見事な剣さばきも見せてくれます。そして乱戦の中、唯一味方兵士を生きる方向で心配してたのも我が君です。
ラスト付近、完敗曹操との対峙の時も、飲まれる孫権をよそに、絶対に視線を逸らせない劉備。人質が山盛りなのを目にしてさえ、ゆるぎない手元と表情がすごく良かった。
そして、曹操も劉備と視線があった時は、きっちりと真剣。
この、度量の差を表す一シーンは、誰もが凄くて良かったです。飲まれる孫権含め(むしろ、役者さんとしては孫権もものすごく上手いと思った)。
というわけで、隅から隅までカッコいい我が君です。惚れます。

趙雲はウー監督の最高の贔屓だったと思います。
もう、あげつらうのが大変なくらい、何もかもがカッコいい。
必殺技は、槍高跳びです。槍を軸に、超高いとこでもぐんぐん登ります。
そして、大活躍です。
周瑜と背中合わせで戦ったあたりでは、槍で大降りの分、趙雲が食っちゃってました。
主役が食われた主要因は、軍師殿とこの将軍です、間違いなく。
ラスト付近で、楼の上で人質にされた小喬救ったのは、糜夫人を救えなかったことへのオマージュだと思うんですが、カッコよかった。
趙雲は、皆の中で立ち回りが最も美しいのではないかと。
そして、笑顔が物凄いステキです。親しい認定された人のみに向けられるのですが、瞬殺されます。

張飛も関羽も、相変わらず、がっつりと美味しいとこ取り。
張飛の決めるとこは決めるけど、ちゃんと笑いも取るとか。
関羽に至っては、曹操に台詞でトドメ刺してたし。曹操は周瑜も孫権もナメてかかっていたのに、関羽の吐き捨てるようなたった一言に、ものすごいダメージを受けていて笑いました。
だがしかし、ものすごい納得のシーンでもありました。
もちろん、アクションは二人ともきっちりがっつりと美味しく!

そうそう、脇役大賞は魯粛でしょう。
パート1からでしたが、孔明への信頼(友人と言い切る役柄)と、かといってけして政治家としては愚かでない一面と、でも真面目で振り回されるあたり。
十万本の時の、かかしとの会話なんてかわいくて大笑い。
孔明も、魯粛のさっぱりさを知っててからかってる感があって、嫌味がなくて楽しめるシーンでした。
ずっと孔明は作戦を話さずに無言で、魯粛は業を煮やして「かかしの方がまし!」とやってるんですが、いよいよ佳境で孔明が口を利いたら、その内容でなく「口きいた!」と驚愕したのに爆笑しそうになりました。
そっちかよ!と。
そして、十万本に400本足りない、となった時の焦り方がステキでした。このシーンに関しては、一緒にあせる黄忠もかわいかったです。イイ人たちですねぇ。
孔明と周瑜は、ここに限ってコンボでタチが悪かったです。
気楽に連弩を開放するあたりとかは、孔明らしくてかわいかったけど。

まあ、そんなこんなで本命、孔明。
疫病をたちどころに見出し、医療も率先、風を読み、曹操の読みすらコントロールしてく様はさすがです。
でも、このシリーズの何よりの白眉は、劉備軍単体に向かってる時の顔と、呉軍と合流してる時の目が全く異なること。
真剣さが違う。
真心からなのと、相手をコントロールしようとしてるのと、本気で違う。
唯一、劉備軍オンリーのみ素直です。なんだか年相応です。
ヒトミシラーを疑いたくくらいに、孫権軍と共にある時と目付きと態度も声のトーンも違う。
カワイイよ、ほんとカワイイよ、このお茶目軍師。鷹揚とも取れる態度は全て、我が君の、そして劉備軍の明日の為なんですもの。
何がスゴイって、敵にしたら怖いとは何度も言ったけど、一度も周瑜を「友」とは呼ばなかったことですよ。
あくまでこの戦のみの同盟相手だよ、ときっぱりはっきりと言ってるんだよね、最後まで。
もちろん、コレが出来るのも劉備軍が一枚岩だから。
劉備が同盟破棄したって皆が思ってるあたりでも、一人残った孔明が劉備に愛想つかして離脱を望んだとは思ってないんです。
劉備が「孔明が帰るのを待ってる」と言うんですが、「帰ってくるのかよ」という疑いは一切無しで、「帰ってきたからって、帰る家ないじゃん」ですもの。
奇襲直前、風が止まったところで豪速で帰還してるんですが、奇襲準備万端の劉備たちの前の表情の真剣なこと。
そして、カッコいいこと!
しかも、最終戦開始直前に「やるべきことは全てやりました」とくっきりと軍師の役目はここまでと言い切る。
そして、劉備軍の面々は自分の仕事をやりきるステキさ。
ラスト、周瑜への挨拶を済ませて仁義たてた孔明の足取りが、今までよりずっと軽く見えたのは気のせいじゃないと思います。
劉備軍へ帰れる!これですよ、絶対。
天候を読む時のキラキラとした表情も可愛かったし、本当にステキな孔明でした。
演義みたいに魔法使いみたいなことしないのに、ものすごい存在感ですもの。
目もですが、声のトーンの使い分けも凄かった。命を発する時には、ちゃんと通る声になるんですよ。
疫病確認の際には、ちゃんと口元覆って感染防ぐし。薬にはめっさ詳しいし。
何より、劉備軍との一枚岩っぷりが幸せでした。

時間稼ぎの小喬と、冬至団子を一生懸命頬張る周瑜もかわいかったです。
ですが、冬至団子シーンの白眉は妹に空き皿押し付けられて、目を丸くする孫権だと(笑)。あの一瞬の「え?!」っていう顔が本当にかわいい。
個人的に、この役者さんのシリアス時の釣り目が大変キレイだというあたりとあいまって、二枚目半をやっていただきたいと思ったくらい。
ギャップがいいと(何を言ってる)。

あ、ぽっぽちゃんも助演賞であります。孔明の肩とか似合いすぎです。

字幕のイイところは、原語が聞こえること。
呼び名がちゃんと色々と変わってるのが、面白いです。
出てくるのは、わかった範囲ですが、
主公(孔明の「我が君」、他の「殿」)、大哥(劉備、関羽張飛が呼ぶ)、二弟(関羽、劉備が呼ぶ)、三弟(張飛、劉備と関羽が呼ぶ)、二哥(関羽、張飛が呼ぶ)、子龍(趙雲、劉備が呼ぶ)、孔明(劉備軍、孫権軍が呼ぶ)、諸葛亮(曹操軍が呼ぶ)、劉備(曹操軍が呼ぶ)、劉将軍(もしかしたら、劉予州かもしれない、でも発音的に将軍?孫権軍が呼ぶ)、関将軍、張将軍、趙将軍(孫権軍が呼ぶ)、都督、周都督、大都督(周瑜のこと、皆適宜)、公瑾(数人呼んでたけど、誰だっけ)、周瑜(曹操軍が)、蔡瑁、張允、蒋幹(全員から、あーあー)、亮(孔明が一人称で。ラストは聞き分けたけど、他はあったやら)、丞相(曹操、曹操軍より)、劉備(曹操軍が呼ぶ)、孫権(曹操軍が呼ぶ)。
ひとまず、覚えてる範囲でこれくらいでしょうか。
個人的には、BD、DVDになる時に中国語発音の中国語字幕が欲しいです。もっと詳しく知りたい。

後、ディレクターエディションが見てみたいです。さて、劉備軍がどれだけ更に美味しくなってるか、と。



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