□□□ 劇場版三国志 □□□
 
第一部 英雄たちの夜明け


何か、力の入れ所を大幅に間違った感のあるアニメ映画です。
一作目は、桃園の誓いから呂布が死ぬあたりまで。

元は、いつ頃だかに放映された映画のDVD化。
ある意味、とてもスゴい。なにがというと、先ずは声が。
曹操が渡哲也、劉備があおい輝彦、孔明が山口崇
曹操は、グラサンかけて車大破させないといけなさそうです。
蜀がやたらと時代劇づいてるのも気になります。なんせ、孔明の声、上様ですよ。
(※上様とは、『大岡越前』中の八代将軍吉宗。サンバ踊る方では無い)

そして、キャラがどう見てもカッコ良くない。
恐らくは古い連環画から起こしていると思われるキャラに、無理矢理前髪をつけて若作りにしても、カッコよくはならないと……
貂蝉など、絶世の美女なんて嘘だ!と大いに抗議させていただきたく。

子供の孔明がいるあたりは後半への前フリだろうと思われます。
だがしかし、董卓刺殺後の貂蝉は……
いや、この人貂蝉なんでしょうか、本当に?と問いただしたくなること請け合い。
隈取ついてるし、超つり目だし、顔色も尋常じゃないし
董卓と呂布を弄んだ、とかと表現したいのかなんなのか、全く何も説明が無いだけに鬼女になったとしか思えない、超絶謎シーンです。

良かったのは白門楼の呂布軍始末。
張遼と関羽、曹操と陳宮のやり取りが渋くてカッコ良かった。

劇場公開で良かったんだろうかとものすごく疑問な作品でした。
ところがどっこい、続くんだな、コレが。

>>> 


 
第二部 長江燃ゆ!

うっかり続いちゃったとしか言いようの無い、第二作は、許田の巻狩りから益州出兵まで。

二時間半でやるには、かなり無理矢理なボリュームです。
どこに力点起きたかったのかわかりませんが、細部まで力入れたと思われるシーンは献帝の密書、青梅を煮て英雄を論ず、袁術死ぬとこ、玄徳の母親が死ぬトコ、関羽千里行、三顧の礼、博望破の戦い、長坂破の戦い、十万本の矢、七星壇、赤壁の戦い。
謎の孔明嫁取りエピソードオリジナル編なんぞ延々とやってる暇あったら、官渡をすっ飛ばさずに入れて下さい。
郭嘉の影も形も無い……
劉備が主役の割には、荊州争奪もほとんど触れられてないのも不可思議。

そして、謎のメイクシリーズ健在
よりによって、孔明の七星壇で来ましたよ!
やっぱり怖ッ!
ついでに、大喬がいなくなって、小喬だけが喬夫人とかと呼ばれてました。
そんなこんな謎な展開が多い割に、曹操の負けっぷりが普通で安心しました。

なにせ、荊州争奪戦は詳細ではなかったのですが、周瑜の死に様がトンデモナイコトに。

襄陽城に追い詰められ、自軍と思って連れてきた兵士は全て士元が用意した民兵(=劉備軍)。味方の将も誰もいない。
一人取り囲れて激怒、劉備たちがいる城壁へと駆け上がる途中で喀血、そこから転落死。


だが、これはまだ 序 章 。
恐ろしいことに、始まりに過ぎない。
劉備たちは、「どうしても勝たねばならなかったのだ、許されよ」などと殊勝な顔して言いながら、

裸馬の背に遺体を担ぎ上げ、そのまま走らせた!

ええと、あの馬は、一体何処へ……?
こんな人でなしな劉備軍、後にも先にも見たこと無いです。
いくら敵とはいえ、ここまでの侮辱的仕打ちを誰が許せるのか、私にもわかりません。
呉の大都督、面目丸つぶれの巻、としか。
本当に、えらいモノを見せていただきました(合掌)。

心底恐ろしいのは、コレがまだ続くことですが。

>>> 


 
完結編 遥かなる大地

さすがにOAVになりました。二本目まで劇場公開だったことの方が驚きではありますが。
すでに怖いもの見たさの完結編、劉備軍益州攻略から五丈原まで。

OAVになったからかどうか、オリジナル性が一番高いです。
関羽の娘が登場。
しかも、隠し子設定。

事情ある子供を、自分の子と言えば粗末に扱われないだろうと思い、民に預けてたらしい。
活躍状況からして、花関索を女版にした感じ。

髪まで真っ白で妙に老け顔になってしまった馬良は、なぜか夷陵で戦死なのですが、死に様は劉備をかばう壮絶さでカッコいい。
そして、なぜか馬良が、このアニメシリーズにしては異様に見た目がカッコいい。
女花関策のお嬢さんと恋に落ちるからのようだ。

ココまで来ると、すでに主役は女花関索。
しかも、街亭の敗戦で馬謖が処刑されたのが許せずに、蜀軍を去る。
姜維も登場しないままで、武将がホントにいない蜀軍、当然のように追い詰まる。

孔明が命旦夕で祈るシーンは、あらゆる意味で悲劇的。
ものすごい大声で祈ってるのに、秘密。
人払いして、誰もいなくなったの見計らって祈っていることになってるが、ものすごい無茶。

蜀軍の危機を聞いた花関策嬢が、死せる孔明生ける仲達を走らすをやって、終わり。
最後は無難なとこにまとめたかな、と思いきや、エンディングでものすごいシーンが。
やはり引退した女花関索、なぜか子供らと幸せに暮らしましたオチ。

スゴイ映画は、スゴイままで終りました。
どういう意味かは、書かなくてもおわかりかと。

>>> 


[ 戻 ]