□□□ 第六巻 □□□
 
第二十一回 『玄徳の結婚』


今回の主役は誰がなんと言おうと曹操です、の回。

劉備と淑玲が、やっと収まるところに収まります。
なんだか返って切欠が無かった感があるのが微笑ましかったかな。

そんなことより曹操です。
袁尚を追って華北攻めなのですが、風土に苦労するものの破竹の勢い。
なんせ、軍師が郭嘉ですからね!
風土病に倒れても、献策し続ける男ですから。
曹操が「俺のせいだ」と嘆くのを「病は天命」と言い切る男ですから……
陣舎での会話は忘れ難いです。

(以下、曹=曹操、郭=郭嘉)
郭嘉が横たわる陣舎に曹操が慌てたように入ってくる。
丞「郭嘉!わしが悪かった。たかが敗残の袁紹を追うために、このような砂嵐の吹きすさぶ地の果てまで兵を進め、そなたに多くの難儀をなめさせ、はては病まで与えてしまった」
郭「(咳き込んでから)かたじけないお言葉。たとえ、私の命がここで果てても、ご恩の万分の一もお返ししたことにはなりません」
曹「(思わず、声を荒げて)命が果てるなど、縁起でもないぞ!郭嘉!」
郭「いいえ……私の命は、これまでです」
曹「郭嘉!」
郭「(また、咳き込み)病は天命、なんの悔いることもございません」
曹「この北のはての厳しさは、聞きしにまさるものがある。わしは、兵を返そうと思う。郭嘉、共に都に戻ろう!」
郭「いけません!(身を乗り出して)せっかくここまで押してきて、あともう一押しでございます!」
曹「しかし!軍師のお前まで、病を得ては」
郭「兵は、神速を尊ぶと申します!(声が濁ってくるが、さらに、大きな声となる)いま、はるかに千里のかなたを襲うに、大部隊で進んでは、お味方に不利でございます!土地のものを雇い、道案内させ、軽装の軍勢をもって一気に敵の虚をつ九に越したことはありません!(大きく咳き込む)」
曹「(郭嘉の勢いに気圧されつつ、言い聞かせるように) わかった、郭嘉、もうよい、後でゆっくり聞こうぞ」
郭「いいえ!(声の濁りが大きくなる)もう時間がありません……あとのことは、一切この中に……(遺書らしいものを、取り出す)」
曹「郭嘉!なにを申す!」
郭「殿!進むのです、絶対に!絶対に、退いてはなりません!
(急に、郭嘉の口元が、止まる。その瞳が、ゆっくりと閉じる。)
(乗り出していた体が、ゆっくりと、床に倒れこんでいく)
曹「郭嘉!しっかり、しっかりせい!郭嘉ッ!」

(月を見上げ、一人で)
曹「郭嘉、わしは、お前にすべてを託そうと思っていたのだ。お前はわしの部下の中で、一番若い……天は、わしを滅ぼそうとするのか!



そして、遺書通りに袁尚の首は届きます。
郭嘉ですが、曹操が丞相職についてから、ずっと「丞相」と呼んでいたのに、最後のあの一言だけが「殿」なんですよ。
ということで、続きは次回。

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第二十二回 『軍師登場』


単福登場したよ、の回。

曹仁が振り回されたと知ったなり、母親使って呼び寄せる曹操に脱帽です。
張飛が相変わらず単細胞です。
しかし、徐庶という名が全く出てこないことが最も気になります。
というあたりで、続きは次回。

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第二十三回 『三顧の礼』


劉備に髭が生えた!の回。


(劉)細かいところもいろいろとね。それより、元直の母親、剣でついた
   か。

(曹)ちと計算外だったな。お陰で墓参りばかりだ。
(劉)自業自得だね。俺はいよいよ伏龍のところへ行くぞ。
(曹)すごいなぁ、全く情報が無いってのも。鳳雛の方は誰なのか、
   どこにいるのかまでわかってるらしいじゃないか。なぜそちらに
   しない?伏龍鳳雛のいずれかを手に入れれば天下を収められると
   水鏡先生は言っておったんだろうが。
(劉)元直(徐庶)が薦めたのは伏龍だから。彼を手に入れてくれ、
   とあれだけ必死に言ってくれたのだ、礼儀をつくしたい。

(曹)その妙に生真面目で頑固なところが玄徳なんだけどな。
   一念岩をも通ずっていうのかね、ヒントがきたじゃないか。
(劉)うん、臥龍岡なんて、いかにも伏龍を髣髴とさせる。さっそく
   行ってみよう。

(曹)あのさぁ、ケチになるのかもしらんが、言わせてくれ。
   諸葛均の物言いは、翼徳(張飛)でなくても怒ると思う。
(劉)そうだったか?俺は気にならなかったが。
(曹)夢中になると、見えなくなるタイプでもあったか。
   それはそうと、いなかったわけだが。
(劉)出直すよ、何度でも。
(曹)って、吹雪の中出掛けるか?!
(劉)いい人材となったら、孟徳でもやると思うけどなぁ。
   それだけ思っておるのだと通じるとか言いそうだけど。

(曹)ぎく。まぁともかく、またいなかったな。
(劉)ああ、もう一度来ればいいことだ。
(曹)今度は帰って来るまで待ち続けるって、おい、何も言って無いが
   淑玲も驚いてるぞ。子供も生まれてたってのに。
(劉)構わん。
(曹)やっといたけど、今度は昼寝か。
(劉)このくらい待つのはどうってことないね。
(曹)ほら、また背後で翼徳(張飛)が怒ってるぞ。
(劉)目覚めてくれたよ、というところで、続きは次回。

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第二十四回 『天下三分の計』


(劉)さて、いよいよ諸葛孔明と対面だ。
(曹)なんか、目がきらきらしてないか。
(劉)やっと会えたんだ、当然だろう。
(曹)なにかっていうと見詰め合うの止めてくれよ。こちらがどきどき
   する。
(劉)言葉で言わなくてもってやつだよ。なんで孟徳がどきどきするんだ。
(曹)よくわからんが、たまに管理人とやらが下りてくる気がする。
(劉)それは不幸な。
(曹)それはそうと、天下国家を論じることは出来ないと言われたのへの、
   あの歌は?という切り込みはいいな。
(劉)あれは間違い無く天下国家への憂いを歌ったモノだからね。
(曹)って、また見詰め合ってるよ。
(劉)よし、天下三分の計を引き出したぞ。
(曹)言わせろ!なんであの地図はあんな綺麗に国境線で三分されるんだ!
(劉)いつでも切れるよう、折線でもつけてあった、ということにして
   おこう。想像すると嫌だが。

(曹)今、無理に天下統一しようとすれば俺だろうが孫権だろうが滅びる
   という意見は、少々耳が痛いが。
(劉)俺にもまだ、機会はあるということだ。
(曹)まぁな。にしても、やはり諸葛均は冷ややかだよなぁ。待ってる
   雲長(関羽)と翼徳(張飛)に朝飯まで用意してるのはマメだと
   思うが。なんせ、無駄なのに、だぞ。
(劉)さすがに、雲長が顔色を変えているな(苦笑)。
(曹)面白半分なのか、の問いに、そんな物好きではありませんって、
   かなり凄いぞ。
(劉)人形劇の孔明は星見が凄いんだよ。なんでも、俺と孔明の繋がりが
   大凶なんだとか。

(曹)えらい落ち着きようだな。
(劉)寿命の話ならともかく、人間同士の繋がりなんて心の持ちよう
   だろう?(にっこり)

(曹)なんか玄徳だとすごい説得力だな。翼徳も、たかが星占い、なんて
   珍しく真髄を。
(劉)ああいうタイプって、そういうところあるよ。
(曹)ああ、また見詰め合ってる。
(劉)いよいよ、孔明出蘆だよ。
(曹)あ!しまった!
(劉)兄弟がまた一人増えて、メデタイね。
(曹)初仕事が劉表のところの跡目争いかよ。
(劉)放っておくことも出来なかろうが。
(曹)重耳を洒落こんで江夏の守備に劉埼をねぇ、ふぅん?
(劉)いいじゃないか。それより、元直(徐庶)だが。
(曹)俺の為に献策するとは偽りで、命を狙うとは!
(劉)殺伐としてるねぇ、孟徳のところは。
(曹)玄徳のところは、いやにほのぼのだな。翼徳が阿斗をあやして
   泣かせるあたりはお約束通りだな、おい。
(劉)雲長に「お前の顔じゃ逆効果」とツッコまれるようじゃな(笑)。
(曹)く、俺のところじゃそんなくだけたことは言ってくれなかった
   (ほろり)。
(劉)急に夜中にぐずった原因は、元直の死らしいがな。
(曹)げ、星見よりも怖ッ。っと、そんなことに気を取られていたら
   民兵だと?孔明が根付く前に潰した方が良さそうだな。
   ま、このままだと自壊しそうな勢いだけど?
(劉)俺は孔明を信じてる。というところで、続きは次回。

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おまけ 『ことわざ三国志 二』


(劉)特別番組の第二回だ。
(曹)故事成語解説と銘打った名場面集という感じだな。
(劉)だね、今回は三顧の礼と千里独行だよ。
(曹)改めてみると、孔明登場までってもったいぶってるよなぁ。
(劉)それだけ、期待していいってことさ。
(曹)素直だよな、そういうあたり。俺としてはやっぱり、雲長だね。
(劉)こちらも、やはり名場面だね。
(曹)って、うわ赤壁まである!早送り早送り!
(劉)危ない危ない、まだ本編で楽しんでないからな。
(曹)ふう、次回は何かな。
(劉)さて、それはお楽しみってことで。

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