□□□ 第九巻 □□□
 
第三十三回 『赤壁の戦い』

(劉)孟徳の鳳雛先生崇拝っぷりが、いきなり凄いね。ずっと側にいた
   部下が連環の計を危惧してるのに却下か。

(曹)あの鳳雛先生が策を授けてくださったんだぞ?しかも、反駁も
   きちんと理論だった物だ。この北西の風ばかりの季節に、例え
   東南風が吹いたとして数刻、我らを火達磨にしようと思えば、
   最低一昼夜は吹かねばならんって、説得力があるじゃないか。
(劉)ああ、そう?しかしまぁ、鳳雛先生と許攸が幼馴染ねぇ?
(曹)無理があるよな、あれは。
(劉)……徐庶があの退場だったから、まさか西涼侵攻の噂が広がるとは
   思わなかったよなぁ。見限るとか、高飛びとかって、許攸……

(曹)アイツ、今度会ったら馬で踏みつけにしてやる。
(劉)ああ、原作通りの最後だね(笑)それはそうと、ここから公瑾殿
   (周瑜)は血を吐いてるんだね。

(曹)病魔に侵されているのか、激しているのか微妙に迷うな。
(劉)見舞いに来た孔明との「人生には旦夕の禍福あり、と言うからな」
   「天には不測の風雲あり、とも申します」のやり取りがいいよね。

(曹)互いに冴えてるのが良く出てるってのは確かだな。それより、
   風を吹かせると宣言した時の孔明はどう見てもなんか企んでるとしか
   思えんのだが。
(劉)風を吹かせるふりだからさ。
(曹)芝居ってわけか。で、なんで勝平は凧揚げなんてしてるんだ?
   しかもやりたがる翼徳(張飛)。
(劉)ああ、雲長(関羽)も翼徳も勝平が遊んでると思ったようだが
   違うよ。俺の頼んだ仕事なんだ。風向きが変わるのは上空からと
   孔明が言っていたからさ。

(曹)迎えに行く時を計っているわけか。って、雲長まで……
(劉)なんとなくやりたくなるのかな(笑)。
(曹)げ、東南風!
(劉)子龍(趙雲)にすぐ迎えに行かせたから大丈夫だよ。あの「一矢で
   射殺すのは簡単だが、せっかくの同盟にひびが入るのは望むところ
   ではない。こうしてくれようぞ」と帆を射落とすのはいいよな。

(曹)あの孔明の予告は気に入らんがな。
(劉)ああ、「阿鼻叫喚の焦熱地獄」ってヤツ?事実だから仕方ないよ。
   ほぅら、紅蓮の炎が上がり出したよ。仲徳殿(程イク)の「船底の
   沈み具合が浅すぎる、投降は偽りだ」っていう読みはカッコいいけど
   遅すぎたな。

(曹)おーのーれぇー。
(劉)出た、鬼面の孟徳。でも、なぜそこで孔明。
(曹)根底にはヤツの策だ、間違いない!という思いを込めてるんだ!ほら、笑いこけてるじゃないか。
(劉)あれは孟徳の想像上の幻だから。岸に上がったら、すぐに落ち着く
   のは孟徳らしいね。

(曹)しかし、あれほどの威容を誇った水塞が一瞬で灰か。
(劉)さぁ、孟徳の運命は如何に、というところで、続きは次回。

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第三十四回 『曹操を逃がすな!』

(劉)ん?孟徳の糧地は聚鉄山じゃないのか?烏林?
(曹)そこはほら、人形劇だから。って、焼かれたか!
(劉)公瑾殿(周瑜)殿の手が回ったようだよ。孔明ががっかりしてるさ、
   追い詰めやすかったのにって。

(曹)おいおいおいおい。
(劉)だってほら、公瑾殿も容赦なく追ってくるよ?どちらに殺られたい?
   (にこやか)

(曹)生き延びるっての!妙才(夏侯淵)が身代わりになったってのに、
   捕らえられてたまるか。
(劉)ツッコんでいいか?闇で馬の色が茶か黒か見分けはつかんと思う。
   それ以前に影武者になるなら馬も取り替えると思うが、どうだ。

(曹)ああ、少々慌てていてなってことにしとけ。しっかし、玄徳の
   ところ、すっかり信頼関係が出来たな。
(劉)当然だろう。逃亡路指定だろうが、食事時間指定だろうが、孔明の
   言うことは当たるとわかってるのさ。

(曹)玄徳、翼徳(張飛)を挑発したな?俺の首を取ってみろって。
(劉)え?ああ、だって孔明の「孟徳の首が取れなくても」ってのに
   つっかかるからさ。

(曹)だから、俺は生き残るって言ってる!
(劉)雲長(関羽)と孔明の「命とられても」「首を賭けてもよろしい」
   というやり取りは緊迫感があるよ。

(曹)雲長を殺すことになるまいか、と玄徳も心配そうだが?
(劉)あの義理堅さ、間違いなく殺せないからな。孔明の星見でも生き
   延びると出てるってよ、良かったな。

(曹)当然だっての。しかし、公瑾はアレだな。
(劉)ああ、孟徳が影武者ってわかって、また血吐いたのか倒れたね。
(曹)やっぱり怒りすぎじゃないのか、あの男。む?美芳は戦場跡で救済
   活動してるのか?凄い肝っ玉だな。
(劉)戦場慣れしてるからな。仲徳は凄いねぇ、孟徳助ける為なら小船の
   部下蹴り落とすわ、雨宿りできそうなところから追い出すわ。

(曹)忠誠心が篤いってことにしといてくれ。お前ら、余裕だな。
   雨上がりの空を孔明とのんびり見上げたりしおって。
(劉)勝ち戦だから(きぱっ)。にしても、孟徳って懲りないよね。部下が
   怯えてたんじゃないのか?毎度、伏兵が無いって笑っては呼び
   出してさ。

(曹)ほっとけ!雲長には逃がしてもらったが、立場を苦しくしたな。
(劉)大丈夫だよ、翼徳が躰張ってかばい通したから。俺も口添えした
   しね。

(曹)玄徳のは相談済みだろうが。頷いた孔明の口元がどう見たって
   笑ってる。
(劉)いいじゃないか、助かったんだし。というところで、続きは次回。

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第三十五回 『風雲南郡城』

(劉)へーえ、南郡城攻め対策か。
(曹)間違いなく、まず狙われるからな。ほら周瑜が復活した。
(劉)先ずはウチの様子見か、やるね。
(曹)なんていうか、玄徳と孔明が揃うとハメるぞオーラが出てる気が
   するんだが。
(劉)まさか。本当に俺の方から訪ねて構わないと思ったんだよ。
(曹)孔明の「勝手に帰りまして」ってのは嫌味だろ?公瑾が咳払いしてる
   ぞ。
(劉)やましいってことだろ。同情の余地は無いね。
(曹)(厳しッ)なんか皆して孔明の「奪い取るも(劉埼に)返すも、
   先ずは手に入れてからではないのですか」ってのが取ったもん勝ち
   という意味で失言だって責められたけど、そもそも玄徳の
   「この土地は江東の物でも私の物でもない」って発言が付け入られる
   隙じゃないのか?
   ほら、公瑾も「忘れるな」だとよ。
(劉)さて、孔明は「つけいられるのはどちらでしょう?」と笑ってる
   けど。

(曹)公瑾の方は大喜びしてるぞ。「あのウカツな発言で皆に責められてる
   ところを想像すると溜飲が下がる」とさ。
(劉)次の瞬間には「うかつすぎる」と気づくところはさすがと言って
   おこうかな。だが、やることが劉埼殿の恐喝っていうのは許せんが。

(曹)しかも、思い切り俺の策にハマって無様だな。矢を肩に受けたか。
(劉)討ち取れなかったけどね。
(曹)そこが子孝(曹仁)の甘いところだな。ところで、見舞いが雲長
   (関羽)と孔明の二人とは珍しい組み合わせだな。
(劉)孔明が行くのは必須だけど、後は落ち着きがあるのなら誰でも大丈夫
   だから。

(曹)「江東に戻られた方が」って雲長、にこやかに嫌味を言うなんて
   (涙)。……孔明の「あの発言は水に流してもいいのに」
   ってのはありそうだとしても。
(劉)心配してるに決まってるじゃないか?ほら公瑾殿も起き上がられてる
   ぞ。

(曹)「お元気そうですな(笑顔)」の雲長と「私も安心しました」の孔明
   と嫌味がきっちり息合ってるな。
(劉)元気に見せたいのに合わせて差し上げただけじゃないか
   (にこやか)。

(曹)かなり深手って見抜いての所業は嫌味だっての。確かに気力だけは
   有り余る御仁だな。
(劉)でも、「曹仁が負けるのと南郡城が江東の物になるのとは全く
   別のこと。違いますか?」
というわけで、いただいたよ。

(曹)公瑾、また血ぃ吐いたなぁ。
(劉)というわけで荊州はいただいたよ。それはそうと、孟徳も
   立ち直ったみたいだね。

(曹)いつまで敗戦に気を取られても始まらん。玄徳の方も、周瑜の恐喝に
   屈した劉埼に人民たちを向けるとはやるじゃないか。
(劉)なんせ長坂破の敗走時にさえついて来てくれた人たちだからね、
   年季と根性が違うかな。

(曹)凄い説得力だな。孔明の行動の早さにも頭が下がるが。で、正式に
   荊州を継承したわけだな。
(劉)というところで、続きは次回。

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第三十六回 『玄徳虎穴に入る』

(曹)民には大人気だが、豪族どもには疑われてたのか、意外だな玄徳。
(劉)え?疑われてたのか?てっきり素直に助けに来てくれたものと。
(曹)たまに素なのか演技なのか疑いたくなるが、まぁいい。孫権直筆の
   婚儀依頼とはなかなかやるな。さて、どうする?
(劉)戦は避けたいのでね、行くよ。
(曹)孔明はどうせの危険なら荊州に留まって欲しいようだが?
(劉)大丈夫。わかってくれているから。
(曹)確かにな、すでに錦の三つの袋を用意してるあたり。
(劉)孟徳の間者の中に勝平の探してた父親と同じ錦の袋の持ち主が
   いるのが気になるけど、ひとまず南条へ行くよ。

(曹)機密事項をいきなり町中に大暴露ってあたりが孔明らしいというか。
(劉)秘密じゃなくなった時点で、動きにくい策だから。
(曹)よく、周瑜は血を吐かなかったな。おい、貞姫乗り込んできてるぞ!
   布が身代わりだったのは、やはり殺されるかと思ったからか?
(劉)あの程度の腕なら、避けられるよ。ま、面倒は避けたかったけどね。
(曹)寂しいって図星だったんだなぁ、すごい怒ってるが。
(劉)侍女の薙刀取り上げてきた子龍が楽しそうなのと好対照だね。
   この程度で実質戦場に出てる人間と渡り合おうというのが
   間違ってる。

(曹)でも、ちょっとカワイイかもとか思ったんだろ。子龍の目前だって
   のにくどいてるし。
(劉)礼儀といて一応。
(曹)しっかり「我侭一杯に育っていらっしゃるようで」
   言い切ったし、好きか嫌いかさっぱりだな、おい。
(劉)この話では好きってことになってるんだと思う。
(曹)思う?(おいおい)
   恨み石への祈りがそれぞれらしいな。荊州が危ないんじゃないか。
(劉)さてな、孟徳があっさりとこの結婚が策謀だと見抜くのは
   らしくていいね。

(曹)ここしか出番無いんだ、いいだろそれくらい。
(劉)まだまだ公瑾殿(周瑜)の策謀が続きそうな雰囲気のまま、
   続きは次回。


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おまけ 『アートギャラリー 二』

(曹)今回はわが軍中心だ。俺、子桓(曹丕)、元譲(夏候惇)、
   妙才(夏侯淵)、仲徳(程イク)、仲達(司馬懿)、奉孝(郭嘉)、
   子翼(蒋幹)というところだな。
(劉)他の陣営としては、献帝、文長(魏延)、馬騰殿、袁紹、劉表殿、
   于吉、左慈だね。

(曹)待て、なぜ魏延は玄徳軍ではないんだ。
(劉)さぁなぁ、本編にも顔出すのになぁ。
(曹)まぁいいか。ジオラマはなんだ?
(劉)今回は赤壁関連だよ。公瑾殿(周瑜)と魯粛と孔明の位置関係と
   視線が絶妙な「赤壁前夜」と孟徳が悔しがるのを止める仲徳殿が
   なかなかな「赤壁の戦い」。

(曹)ほほう、このジオラマはなかなか楽しみだな。
(劉)だね、さて次はいつかな。

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