□□□ 第十一巻 □□□
 
第四十一回 『蜀への地図』

(曹)砦も出来上がったことだし、本気で行くぞ。いつまで西涼にかかず
   らってるわけにはいかん。
(劉)って、また嫌な作戦だな。元々字が消してある手紙とは。ああ、
   ほら孟起殿(馬超)が韓遂殿を斬ってしまった。

(曹)ふん、俺からの使者を切り捨てるほどに肩入れしてくれていた韓遂を
   疑った馬超が悪い。
(劉)馬家は感情家の血筋だな(嘆息)。
(曹)蜀の劉璋陣営は初登場だな。ほほう、張松が使者に立つか。
(劉)法正殿となにやら企んでいるようだが。
(曹)企んでるといえば伏龍鳳雛コンビだろ。
   俺に益州を取られてはたまらないというのはわかるが、
   画策するのが楽しくて仕方なさそうじゃないか。
(劉)説明無しに話が通じる相手は貴重だろうね、あの二人にとって。
(曹)ったく、厄介なコンビだよな。
   張松への「大ホラ吹き」という評価には笑ったが。
(劉)出っ歯のぶ男らしいね。それを補おうと躍起になるから大言壮語に
   なるのかもな。

(曹)玄徳はそういうあたりが妙に大らかだよな。
(劉)孟徳はそういうあたりは切れやすいよね。
   ああ、棒叩きになんかして、これじゃ許昌まで出向いて士元が
   占い師の真似事して予告した通りじゃないか。

(曹)ホントに凶相出てたんだろ。
   それより、お前ら、たまに縮地の術でも使ってんじゃないかって
   思うほどにフットワーク軽く移動するよな。
(劉)主人公だからねぇ。
(曹)その一言で済ませるのかよ。
   ああ、また伏龍鳳雛コンビが楽しそうだよ。「仕掛けは簡単」とか
   「もう逃がしはしません」とか。鳳雛なんぞ、握り拳状態だよ。
(劉)礼を篤くするのは得意だから(にこり)。
(曹)いたれりつくせりだよな。子龍(趙雲)の出迎えから、雲長(関羽)
   の登場ときて、城主自ら城の外へ出迎えだもんな。
   これで玄徳マジックに嵌まらない方がおかしい。
(劉)それもこれも、張松殿を棒打ちにしてくれた孟徳のおかげだね
   (にこやか)。

(曹)必要とあらば力で取るからほっといてくれ。
(劉)いいけど。士元は蜀の地図、街道兵糧庫城砦付を手に入れた
   ようだよ。

(曹)げ。
(劉)というあたりで、続きは次回。

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第四十二回 『戦乱の英雄たち』

(劉)今回は、今までのおさらいだ。
(曹)おさらいっていうと、初回から振り返ろうってわけか?
(劉)そう、最初は俺と孟徳の出会いからだよ。
(曹)っていうとアレか、洛陽警備隊で突入した時の。
(劉)そう、一目で俺が張角一味で無いと見抜いて互いに只者でないと
   思ってるアレ。

(曹)ほほう(満足気)。他は?
(劉)映像で出たシーンは、桃園決義、孟徳が張角の本拠地に殴り込んで
   すでに死んでるのを発見するとこ、董卓入洛、俺が孟徳の紹介で
   献帝に再会、許田の巻狩り、俺の許昌脱出、孟徳毒殺未遂事件、
   三顧の礼の二、三回目、新野の焼き討ち、淑玲の死、孔明が
   東南の風を祈るところ、赤壁の火攻めってところ。

(曹)え?俺が張角の本拠に突入するところがあったのか?
(劉)そう、張宝との一騎撃ちから、隠し扉の向こうまでちゃんと
   あったよ。あそこ、カッコいいじゃないか。

(曹)赤壁の鬼面もしっかりと再現されてたけどな……
   だが、他に再現リクエストがありそうなものだがな。
(劉)千里行や貂蝉の連環の計は「ことわざ三国志」で再現されてたから
   じゃないかな。

(曹)なるほど。で、玄徳の政略結婚まで説明されてお終い、か。
(劉)また本筋へというわけで、続きは次回。

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第四十三回 『引き裂かれた愛』

(劉)本筋に戻ってきたよ。
(曹)阿斗が出てくるとほのぼの家族……じゃなくなってきたな。貞姫
   厳しいぞ。
(劉)一生懸命母親になろうとしてるところは、ある意味微笑ましいん
   じゃないのかな。

(曹)益州援軍の件の打ち合わせさ、雲長(関羽)や翼徳(張飛)が
   全軍が動く前提で話すのはともかく、なぜに士元(ホウ統)まで。
(劉)前回地図も手に入れたことだし、攻め取る気満々なんだろ。
(曹)その地図、なんで孔明からも隠すんだ?
(劉)さぁな。まずは腹を知りたいというところじゃないのか。
(曹)で、同じかと思ってたら孔明は玄徳寄りだったと。しかも士元には
   ちと理解しがたいくらいにな。にしても、士元は持論を語り出すと
   熱いんだなぁ。普段は、飄々としてなんとなく斜に構えてる風
   なのに。
(劉)前回の張松の件の時に顔の話が出たら冗談にまぎらわせてたけど
   気にしてたからな。いろいろとあるんだろう。議論にはなったが、
   二人共バカじゃないんだから、おいおい理解出来るだろうしね。
   それよりも劉璋殿の援軍に行かないと。

(曹)自らっていう正義感はらしいと褒めるが、人を信じすぎてるよな、
   相変わらず。それから、あれだけの軍馬が出撃する喧騒の中から
   阿斗の声を聞き分けたのは褒めてやる。
(劉)親なら当然だろう?関平もすっかり成長したし、安心だよな。
(曹)そんなにのんびりした気分なのは玄徳だけだぞ。翼徳でさえ、玄徳が
   蜀に入ったのなら孫権が動き出すとばかりに緊張感漂わせて、貞姫の
   見張りを強化してるってのに。
(劉)なぜ見張る必要があるんだ?関平だって、そうは思っていない
   じゃないか。

(曹)がらは大きくなったが、まだまだ関平もお子様だな。当人の意思は
   ともかく、孫権の妹だからさ。俺が孫権なら、玄徳不在となったら
   どんな手段を使っても連れ戻すぞ。ほら、魯粛が来た。
   策略に気付く順番に納得だな。
(劉)そして、逃げたとわかったら「裏切った」と翼徳が怒り出すあたり
   もな(苦笑)。さすがに、ここまで来ると孔明も貞姫の心がわかって
   くれているね。「人質としか思ってなかったのは、私たち」と。

(曹)理解示してる場合じゃない、阿斗を人質にされかかってるぞ。
(劉)それは孔明たちもわかってるさ。陸路と水路、双方から追うから
   きっと追いつくよ。

(曹)陸路組の雲長と子龍(趙雲)の背中合わせとか説得とか、なかなか
   美味しいな。
(劉)いいだろう。
(曹)おや、孔明は貞姫だけは見送ることにしたのだな。
(劉)血を見ることなく済ませたいという、貞姫の心を汲んでくれたの
   だろう。

(曹)さすがに、ちと玄徳もたそがれてるな。
(劉)というところで、続きは次回。

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第四十四回 『三つの日輪』

(曹)今回は初登場が二人だな……(遠い目)
(劉)ああ、文長(魏延)と文若殿(荀イク)……(遠い目)
(曹)魏延はわかるぞ、酒盛りにかこつけて劉璋を切ろうという場面で、
   実際演技で手を下そうとした当人だからな。ただ、玄徳が身をもって
   守るとは士元も思いもよらなかったようだが。
(劉)誰がなんと言おうと、俺は信じた道を行くだけだ。笑おうが怒ろう
   が、どうしても気に入らんなら立ち去ろうが構わん。
   それはともかく、例の事件だって、演義に出てくるじゃないか?

(曹)や、出てはくるが。
(劉)まぁな、今回突如登場した挙句、唐突に空箱事件だもんな。
   しかも顔がいいのお墨付きのはずが、あのように白髪の皺くちゃ
   じいさま……

(曹)あれが、俺の子房とは信じたくないのだが。
(劉)俺も信じたくない。見なかったことにしよう。
(曹)ついでにあの三つの日輪の夢もな。というわけで、江東を攻めるか。
(劉)逃げたな。ん?孟徳が江東攻め?
(曹)ああ、漢中から益州へと張魯が攻め下る危険性は無くなったはず
   だぞ、悔しいながらな。
(劉)どうして、士元は引かないんだ?
(曹)それは孔明の言葉に集約されてるんじゃないか?
(劉)「私たちは殿を信じています。士元殿は天下の殿にしたいと思って
   いても、殿を信じてはおりません」か。

(曹)赤壁以前に行動を共にして無いと、難しいだろうが。不穏だな。
(劉)というところで、続きは次回。

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