□□□ 第十五巻 □□□
 
第五十七回 『暗雲荊州城』

(曹)本題に入る前に、ヒトツ確認させてくれ。
(劉)何だ、今更改まって?
(曹)このまま、この形式で突き進むつもりか?
(劉)そうだよ、そういうコーナーだから。
(曹)すっげ爽やかに流してるけど、この先ものすごく矛盾やらなんやら
   起こると思うんだが。
(劉)そうだな。でも、そういうコーナーだから。
(曹)……そうか、わかった。
(劉)(にこやかに)じゃあ、始めようか。
(曹)雲長(関羽)は、また矢傷を負ったようだが、毒入りか。
   マズイんじゃないのか。
(劉)孔明の懸念通り、あまりに順調過ぎて油断したってところかな。
   でも、そちらは大丈夫だよ、縮地の術で翼徳(張飛)が華佗を
   呼んで来たからさ。

(曹)って割には、お前の周辺不吉な予感に吹かれまくってるじゃないか。
   孔明の星占いといい、お前の夢見の悪さといい、極めつけの翼徳の
   酔えないってのといい。
(劉)だから、怪我はなんてことないんだよ、華佗が見てくれたから。
(曹)問題は、孫権に突かれて荊州が落ちたことか。拠るべき場所が
   無くなったな。引く場も無い、となると。
(劉)というあたりで、続きは次回。

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第五十八回 『関羽死す』

(劉)住民たちもさることながら、胡班が助けに現れるとはね。
(曹)荊州の人間は玄徳軍贔屓だからな。胡班といえば、まさか俺のところ
   から玄徳のところへと千里駆けた時の?
(劉)そう、その胡班。恩義を忘れずに駆けつけてくれたそうだよ。
(曹)で、麦城へ篭城か。攻め手の呂蒙たちは包囲戦で消耗を待つ気
   らしいが。
(劉)ああ、援軍を求める使者が上手く俺のところに辿りつかんらしいな。
   困ったものだが……

(曹)孫権は、降参の使者に諸葛瑾を選んだようだな。
(劉)少しでも感情が和らぐようにというのもあるが、生きて帰れる使者は
   彼しかいないだろう。

(曹)だが、諸葛瑾はバカではないぞ。ほら、食べ物も出る不思議な井戸を
   見つかったじゃないか。
(劉)周囲の住民達のひそやかな好意だったが……
(曹)いいのか、雲長?「運命だ」で片付けられることではないぞ。
(劉)子瑜殿は賢いだけでは無い方だよ。
(曹)呂蒙に、隠したか。おお、援軍の使者もどうにか玄徳の所に
   辿りついたな。
(劉)すぐに援軍だ!
(曹)プライドが高いから、勝手に送れば怒るってずっと気にしてた
   もんなぁ(涙目)。
(劉)んな顔になるくらいなら、攻めるなっての。
(曹)それはそれ、これはこれとしか……それよりも、便利な井戸が呂蒙に
   見つかったようだぞ。
(劉)使えなくするだけならともかく、民を殺して見せしめに城に
   連れてくるとは!

(曹)民達と引き換えに降伏しろ、か。雲長にはトドメだな……
(劉)…………
(曹)あの踏みしめてく雪の音は忘れられまい。
(劉)…………
(曹)って、おい、呂蒙!騙まし討ちなのか?!民も雲長も殺す気だった
   と?!ああ、胡班が庇って斬られたか。
(劉)……関平が使者に立った後で良かったよ。
(曹)そういう問題じゃないだろ?!なんだよ、あの勝ち誇った笑いは?!
   俺が、俺が切り捨ててくれる!
(劉)……子瑜殿が義を守って便利な井戸のことを告げたわけではないこと
   を、雲長が知ることが出来て良かった。

(曹)玄徳、なに落ち着いてやがる!雲長が、たった一人、呪ってやる
   とまで!
(劉)わかってるよ(にこり)。雲長が殺されたってことは、騙まし討ち
   だってことは、嫌というほどにね。

(曹)…………
(劉)正々堂々の戦いで無く、あんな姑息な騙まし討ちとはね。
(曹)くそ、まさかこんな結末とは!
(劉)……というところで、続きは次回。

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第五十九回 『関羽の亡霊』

(曹)沈うつだな。
(劉)ともかく、遺体だけは持ち帰って葬ってやりたい。それだけだ。
(曹)あの冷静な孔明を巻き込む勢いが凄いな。
(劉)雲長(関羽)に止められて引き換えしたけどな。
(曹)え?
(劉)だから、雲長に止められた。
(曹)ええと?
(劉)黄泉の国の炎を背負って登場した、と言えばわかるか。
(曹)!!!
   それであんなに生々しい首なのか?!
(劉)俺は見て無いから知らない(怒)。首を送られた誰かさんは、それを
   餌に騙まし討ちにしようとするしな?

(曹)待て、それ人形劇だけだからな!俺はきちんと葬ったぞ!
(劉)が、騙まし討ちがきっかけで雲長に呪われ始めるんだがな。
(曹)納得いかん!
(劉)樫だかなんだかの木の精に呪われるのとどちらがいい?
(曹)どちらも嫌だっての!にしても、今回はタイトル通りに雲長が
   大暴れだな。
(劉)赤兎馬も呂蒙を巻き込んで自決したしな。
(曹)それで赤兎と一緒に表れるのか。ああ、頭が痛い。
(劉)呪われまくりの孟徳の運命やいかに、というところで、続きは次回。

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第六十回 『曹操の死』

(劉)白髪増えたなぁ。クマも凄くなってきたし。
(曹)気楽に言ってくれるじゃないか!亡霊の雲長が毎晩来るんだぞ、
   毎晩。
(劉)いいじゃないか、あんなに雲長に来てもらいたがってたんだから。
   人形劇では悪の首領状態だしな。

(曹)論点が違うっての。それよりも、夢の中でまで思いっきり俺のこと
   否定するか、普通。しかも、楽しそうってどういうことだよ。
(劉)夢の中なんだから、孟徳の中での俺がああだってことだろ。
(曹)百歩譲ってそういうことだとして、その夢の中の玄徳でさえ切らせ
   ない雲長ってどうなんだ。
(劉)会えているだけで、俺には羨ましいがな。
(曹)呂布に伏皇后に袁紹、陳宮、華佗までついてくるが、羨ましいか。
(劉)たいていが自業自得だと思うが、中に間違ってるのが混じってるな。
(曹)眠れんわ、頭痛いわ、もうどうにもならん。
(劉)それでも「誰にも負けん」ってあたりは孟徳らしいよ。
(曹)ま、人生の引き際ってところだろう。
(劉)孟徳が息を引き取ったころで、続きは次回。

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おまけ 『アートギャラリー 三』

(劉)アートギャラリーは今回が最後だよ。
(曹)ほう、今までの流れで行くと江東陣営か。
(劉)そう、孫権、周瑜、魯粛、諸葛瑾、呂蒙、黄蓋、陸遜、孫夫人、
   呉国太、喬国老。他の陣営としては、張松、孟穫、華佗、神々、竜々
   ってところだ。

(曹)ジオラマは?
(劉)今回は最後らしく、「秋風五丈原」と「孔明と仲達」。
(曹)む、なんで俺と玄徳が無いのに、こんなのが。
(劉)さてねぇ、ライバルってことになってるからじゃないかな。
   ということで、ギャラリーもお終いだ。


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