第三十五回 『風雲南郡城』
(劉)へーえ、南郡城攻め対策か。
(曹)間違いなく、まず狙われるからな。ほら周瑜が復活した。
(劉)先ずはウチの様子見か、やるね。
(曹)なんていうか、玄徳と孔明が揃うとハメるぞオーラが出てる気が
するんだが。
(劉)まさか。本当に俺の方から訪ねて構わないと思ったんだよ。
(曹)孔明の「勝手に帰りまして」ってのは嫌味だろ?公瑾が咳払いしてる
ぞ。
(劉)やましいってことだろ。同情の余地は無いね。
(曹)(厳しッ)なんか皆して孔明の「奪い取るも(劉埼に)返すも、
先ずは手に入れてからではないのですか」ってのが取ったもん勝ち
という意味で失言だって責められたけど、そもそも玄徳の
「この土地は江東の物でも私の物でもない」って発言が付け入られる
隙じゃないのか?
ほら、公瑾も「忘れるな」だとよ。
(劉)さて、孔明は「つけいられるのはどちらでしょう?」と笑ってる
けど。
(曹)公瑾の方は大喜びしてるぞ。「あのウカツな発言で皆に責められてる
ところを想像すると溜飲が下がる」とさ。
(劉)次の瞬間には「うかつすぎる」と気づくところはさすがと言って
おこうかな。だが、やることが劉埼殿の恐喝っていうのは許せんが。
(曹)しかも、思い切り俺の策にハマって無様だな。矢を肩に受けたか。
(劉)討ち取れなかったけどね。
(曹)そこが子孝(曹仁)の甘いところだな。ところで、見舞いが雲長
(関羽)と孔明の二人とは珍しい組み合わせだな。
(劉)孔明が行くのは必須だけど、後は落ち着きがあるのなら誰でも大丈夫
だから。
(曹)「江東に戻られた方が」って雲長、にこやかに嫌味を言うなんて
(涙)。……孔明の「あの発言は水に流してもいいのに」
ってのはありそうだとしても。
(劉)心配してるに決まってるじゃないか?ほら公瑾殿も起き上がられてる
ぞ。
(曹)「お元気そうですな(笑顔)」の雲長と「私も安心しました」の孔明
と嫌味がきっちり息合ってるな。
(劉)元気に見せたいのに合わせて差し上げただけじゃないか
(にこやか)。
(曹)かなり深手って見抜いての所業は嫌味だっての。確かに気力だけは
有り余る御仁だな。
(劉)でも、「曹仁が負けるのと南郡城が江東の物になるのとは全く
別のこと。違いますか?」というわけで、いただいたよ。
(曹)公瑾、また血ぃ吐いたなぁ。
(劉)というわけで荊州はいただいたよ。それはそうと、孟徳も
立ち直ったみたいだね。
(曹)いつまで敗戦に気を取られても始まらん。玄徳の方も、周瑜の恐喝に
屈した劉埼に人民たちを向けるとはやるじゃないか。
(劉)なんせ長坂破の敗走時にさえついて来てくれた人たちだからね、
年季と根性が違うかな。
(曹)凄い説得力だな。孔明の行動の早さにも頭が下がるが。で、正式に
荊州を継承したわけだな。
(劉)というところで、続きは次回。