第四十六回 『落鳳破に死す』
(劉)いきなり策謀で生き生きしてる孟徳の笑顔が眩しいねぇ。
(曹)玄徳のところの不穏な軍師も、ますます不穏に暗い作戦で引っ掻き
回しまくってるようだが?己の将たちに犠牲ださせるわ、先陣
争わせるわ、挙句、玄徳まで引っ張り出したか。
(劉)いい加減、何を考えてこんなことをしているのか、しっかりと考えを
聞かせてもらわねば!
(曹)あっちの方が上手じゃないかな。「五年後十年後になればわかり
ます」とさ。
(劉)孔明の言う通り、「答えになってない」。
(曹)答えどころか、激昂してるようだが?「不安になれば殿の側に寄り、
頭を撫でてもらいながらごたくを並べるしか脳が無いのか!」とさ。
(劉)翼徳(張飛)はまだしも、子龍(趙雲)まで怒らせてしまったようだ
な。苛立ちの理由はわからんでもないが、なにかに急かされてるよう
なのが気になるんだが。
(曹)県令の件の時といい、なんとなく士元の酒は苦いな。
(劉)本心を隠す為、鬱憤を晴らす為、か。
(曹)己が疑われているという話を逆手に、孔明の追求もかわしたな。
(劉)空笑いだしな。
(曹)玄徳、真剣にマズイんじゃないのか?阿斗が熱出してるぞ。
(劉)孔明が戻るのを待つしかあるまい、情報を得に行ったようだから。
(曹)紫虚上人のところか?何も教えてはくれなさそうだがな。
「大事な人の死に目にも会えぬかもしれない」だとよ。
(劉)ここでの孔明の返しが秀逸だよね。「天にも誤ることが
ございます」と言い切れるのは彼くらいだろう。
(曹)人形劇ではな(にやり)。なるほど、天文を志したのはただ人の
運勢を徒に知りたかったわけでなく、故無く運命に翻弄される人々の
苦しみを取り除く為、誤りを正す為、か……って、待て、士元も同じ
ことを言っただと?!
(劉)運命が変えられぬなら、身代わりになる、と……
(曹)玄徳がこんなところでのたれ死ぬのも真っ平ゴメンだが、鳳雛先生が
亡くなるのもゴメンだぞ!
(劉)多いに同意するよ、くそっ、酔ったふりで白龍を奪っていったのは
そういうわけか!
(曹)お前の周りって、ホント出来たヤツばかりだな、おい。白龍が
察してるじゃないか。
(劉)止めろ、止めてくれ!
(曹)「殿の凶運の全てを私に」か……
(劉)ただ、自分の夢の為だから、とは……
(曹)……というところで、続きは次回。