□ キラキラひかる
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ジョンにとって、スコットは何でも知っているお兄ちゃんだったので尋ねてみたのだ。
「ね、どうしてホシはきらきらしてるの?」
スコットはヒトツ瞬いてから、空を見上げる。
「そうだなぁ、どうしてだろうな?」
初めてのスコットの知らないだったけれど、ジョンはがっかりしたりはしなかった。むしろ、知ったかぶりなどをしないスコットのことを改めて好きになった。
ただ、星や宇宙が好きというのは変わらなかったので、しばらくしたところで、また口にしてしまったのだ。
「どうしてホシはキラキラしてるのかな?」
そうしたら、スコットは笑って教えてくれた。
光る星が何で出来ているのか。光る星には、色々な色があること、その理由。それから、自分で光ることが出来る星と、そうでない星があること。
それはジョンの知的好奇心をたっぷりと満たすモノだったけれど。
「ね、ボクのためにしらべてくれたの?」
これだけのことを調べるのは大変なはずだ、と、少しだけ不安に思いながら尋ねると。
スコットは、笑みを大きくする。
「違うよ、僕も知りたかったんだ」
「どうやってしらべたの?」
頬を紅潮させて尋ねるジョンに、スコットは頷き返す。
「わかりやすい写真が載っている本を見つけたから、後で一緒に読もう」
「うん!」
宇宙という世界を深く深く知りたいと思えたのは、そして本当にそうして来られたのは、いつでも優しく笑いながら知識を得ることにいくらでも付き合ってくれた兄のお蔭だ。
これだけは、間違いのない真実だ。

スコットは海のことも機械のことも同じように詳しくなった。
兄弟たちにとって、未だにスコットは何でもよく知っているスゴイお兄ちゃんだ。
だから五号から降りるジョンは、大事に観測データを持ち帰る。
五号での時間で、十分すぎるくらいに解析はしたけれど。スコットと議論しなくては考察は終わらない。
そして、それは何より幸せな時間なのだから。



2015.12.20 twinkle star

■ postscript

よりみちさんのほのぼの絵から、ふと思いつきました。

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