□ 青い眼鏡といえば
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ラウンジに来て、ソファに腰を下ろすなり目元をもんでいるスコットに、アランが心配そうに声をかける。
「どうしたの、スコット?」
「ああ、ちょっとモニターとにらめっこしすぎた」
レスキュー以外も、父を失ったアレコレをすべて引き受けているスコットの仕事量は、弟たちには想像の出来ない量がある。
「おつかれさま」
ゴードンも、彼にしてはいたって真面目に返すが、隣にいたブレインズが、あ、という顔つきになる。
「モニター用の眼鏡使ってみたらどうかな、少しは楽かもしれないよ」
「モニター用?」
アランが不思議そうに首を傾げたのに、ブレインズは頷いてみせる。
「モニターを見続けると疲れる理由のヒトツはね、発してる青色の波長の光なんだ。だから、これをカットすれば、今よりは疲れが出にくいと思うよ」
彼にしては、あっさりめの説明をすると、MAXへと声をかける。
「僕の作業場のね、ここの座標に置いてある眼鏡を持ってきて」
ぴこぴこと目で応えたMAXは、ほどなく眼鏡ケースをヒトツ持ってくる。
「はい、スコット。これだよ。度は入ってないから、ちょっと使ってみて良さそうなら君のを作ればいいんじゃないかな」
「ありがとう、試させてもらうよ」
素直に受け取ったスコットは、さっそくにケースから取り出したのだが。
最初に笑ったのは、ゴードンだ。
「ちょっと、これも青縁なの?」
しかも、ちょっと太めなので、まるで今、ブレインズがかけている眼鏡と一緒なのだ。
「へ?」
と、きょとん、としているブレインズをよそに、スコットはにんまりと眼鏡をかけると、その肩を引き寄せる。
「ほうら、どっちがブレインズだ?」
ぶっと吹き出したのは、アランとゴードンだ。
ブレインズもスコットも、その髪を上げてちょっと撫でつけたような髪型ではある。ある意味、ちょっと似ている。
「うわー、難易度高い!」
「どっちがブレインズ?!」
笑いながら、わいわいと言うものだから、ブレインズもどういうことかやっとわかったらしい。
「ああ、ごめん。ちょっと僕好みすぎたかな」
などと、困った顔になっている。
「いや、そんなことないさ」
スコットが笑顔で返せば、ゴードンも頷く。
「そうそう、もしかしたらさ、ブレインズみたく賢くなれちゃうんじゃない?」
「ん?確かに?これはいつもより頭が冴えるかも?」
眼鏡の縁を抑えながらスコットが言うものだから、皆して笑ってしまう。
ちょうど帰ってきたバージルとケーヨへと、皆の笑顔が向く。
「バージル、ケーヨ、どっちがブレインズ?」
おかえりの前に出されてしまったクイズに目を見開いた二人も、すぐに笑いだす。



2016.06.26

■ postscript

「#ふぁぼしてくれた人の一枚絵で勝手に小話を書く」、ポテトグラタンさんの眼鏡お兄ちゃんで。

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