□ あなたの助けになりたい
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ケーヨは、ぐっと唇を噛む。
最近、フッドが攻勢を強めている。おかげで、インターナショナルレスキューも何かと割を食っているのだが、今日もそうだった。
2号が墜落寸前の憂き目にあったのだという。
早くS号の運転とインターナショナルレスキューとしての動きを習得して、出動できるようになりたい。そうでなくては、今日のような出来事をただ見つめ続けるだけの日々が続くことになる。
ふ、と手が暖かくなる感覚に視線を上げれば。
スコットが、困ったような顔で見下ろしていた。
「ケーヨ、バージルなら大丈夫だ。無様に墜落するような真似はしなかったさ」
「でも……」
フッドが、私の叔父が皆に迷惑を。
それは口に出来ず、また唇を噛みしめれば、スコットの顔には苦笑が浮かぶ。
「人のことを心配するのはいいが、それで自分が追い詰められてたら話にならないだろ」
ふわ、と手が乗って、くしゃ、と頭を撫でられる。
ホントは、少し違うけれど。
けれど、現実的にどうすればよいのかだけはわかっているので。
「私も、早くS号で出たい」
そう告げれば、あっさりと頷かれる。
「ああ、もう少し訓練すれば出られるよ。頼りにしてる」
叔父の手出しから、インターナショナルレスキューを救いたいという気持ちにウソは無い。
けれど。
ああ、この人の役に立てるのが何よりも嬉しいから。
だから、ソレを期待してくれると言われて、苦しい気持ちはあまりにあっさりと霧散してしまう。
「ええ、バージルの無事がきちんとわかったら、訓練に付き合って」
「FAB」
またも、あっさりと得られた了承にケーヨは強く頷き返す。



2016.08.31

■ postscript

#リプ来たセリフでワンシーン書く という気まぐれタグにお付き合いいただいた結果。
トリっちさんより「人のことを心配するのはいいが、それで自分が追い詰められてたら話にもならないだろ」

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