『 星降ル夜 四 』



例えば、夜空いっぱいに輝く星。
どうやって生まれ来て、なぜ流れ行くのか。
知る者は、誰もいない。
同じように、人の命も。
なぜ生まれ来て、死に行くのか。
いや、それ以前に。
なにを思い、なにを願っているのか。
それすら、他人に知る由はない。
いや、気付けぬのは己だけなのかもしれないが。
この国を率いていた彼は、完全ではなくとも感づいていたから。
血を吐きながらも、なお食い下がったのだろう。
あれらは、危険だと。
たしかに、天下をこの手にと望む者には。
彼らは、恐ろしかったろう。
いまは、全てがおぼろげではあるが、わかる。
その手に天下を掴み取るよりも。
世の安定を望んでいたのだ。
二分では、危うい。
鼎のごとく、三つがよい。
己の考えと一致している。
弱小な場から天下を狙うなら、それがよい。
そこが、こちらの本音で。
相手は、建前であったのだ。
いまは、同盟使であった彼の去り際の台詞の意味がわかる。
最後は、誰でもよい。
最も弱小であったはずの彼らが。
なぜ、潰えずに国を興すことが出来たのか。
己が考えるよりも。
想像も出来ぬほど大きなことを考えている。
だが、考えても他人の考えに追いつくなど、無理なこと。
己の信じる道を、来ただけだ。
振り返るのは、止めにしよう。
星がどこから生まれくるかなど、考えずともよい。
ただ、美しいと思えることを感謝しよう。
争い耐えぬ世で、天寿をまっとうできたことを感謝しよう。


〜fin.
2001.04.22 Meteoric Showery Night IV

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蛇足!
夜空を見上げているのは、魯粛です。
一人くらい畳の上(?)で死んだ人も出しとこうと。


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