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ニ宮
 秤宮  Ribra

その姿を、人、が見ることはない。

黒い服に、すべてを包み込んで、立つ。
手には、天秤を持ち。
その天秤こそが。
『善悪をはかる天秤』。
正確に、寸分の感情を込めることなく。
男なのか女なのかさえ、誰も知らない。
声を聞いた者も、いない。
その目は黒い服の向こうで、表情を伺うことさえできない。

ただ、告げられたコトの善悪を測る。
天秤を持つ者の感情は、まったく加えられることなく。
まったく、手を加えていないことを示すために。
陽の下に立つ。

必要なのは、天秤の示す結果だけだから。
人、はそれを持つ者を、見ることはない。
-- 2000/06/17

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