◇ 二つめの地球の始まりに関する物語 ◇
クローン技術の粋を極めるた人間たちの誰かが言い出した。
『物語の登場人物たちの、日常を見てみたくはないか』
もうヒトツ地球を作り上げる。
そこに物語の世界を再現する。
物語の登場人物だから、クローンで作り上げてもよい。
物語の登場人物だとしても、息づいたら人と一緒。
それはいつしか、人間を二分する争いと化した。
二つの勢力は、少なくとも一つの望みを果たした。
己と考えの違う勢力を、滅ぼしたいという望みを。
永に渡って生命を育み続けた地球は、姿を消した。
残されたのは、創られた二つめの地球だけ。
管理されず、少しずつズレていきながらも、かつて人間が育んだ物語を再現し続けている。
そして、時は大英帝国がもっとも華やかなりし1880年代へ。
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